高所得国を目指す「新生」カンボジアで、日本の存在感が高まる理由...一方、発展を妨げる課題も
昨年夏に英字紙クメール・タイムズは、違法に輸入された食品に対して昨年以上に摘発を行ったと報じ、今年2月にはGDCE(関税消費税務局)が、関係省庁や外交使節団など多くの関係者を招き107の品目、計507トンの違法輸入商品を破壊・溶解するセレモニーを大体的に開催。違法輸入商品撲滅の姿勢を国内外にアピールした。
15年に渡り開催されてきた「日本カンボジア官民合同会議」
現地で営業する日本企業も、所属するJBAC(日本人商工会)を通じてCCF(消費者保護・詐欺抑制局)に違法取引や業者の摘発を要請。GDCEへは知的財産の取締に係る職員に対して、各社製品の正規品と模倣品を見分ける研修を実施する予定など、多方向からの対策を講じている。
さらに、このほかにもカンボジア政府への強力な要請機会がある。15年間に渡り春秋の年2回、過去29回開催されている「日本カンボジア官民合同会議」だ。これは、カンボジア副首相と日本大使を議長として開催するもので、日本企業が現地でビジネス上の課題を報告及び問題提起を行う場である。再びJETROの若林氏にその効力を聞く。
「フン・マネット首相の就任に併せ閣僚も何名か若返りました。彼らは首相同様に欧米での留学や勤務経験のある国際派で、政治や経済の現場から賄賂などが横行する構造自体を変え汚職を根絶していくことで、より多くの外資を呼び込もうとしています。3月の官民合同会議に向けた対話会でも、ある大臣は『そうした話があれば、私の携帯まで電話をしてほしい』とおっしゃっていたほど、これから変わっていこうという意識と姿勢を強く感じました」