インドが切った「インダス川」のカード...テロに「水」で反撃した真意とは?
INDIA’S WATER WEAPON

印パの衝突の裏にはインダス川の水資源をめぐる争いも FRANK BIENEWALDーLIGHTROCKET/GETTY IMAGES
<より強力な立場にあるインドと、世界銀行が仲介したインダス水協定(IWT)について>
カシミール地方のインド支配地域で4月22日、イスラム過激派組織(うち2人はパキスタン人と判明)が民間人26人を殺害した。
ヒンドゥー教徒の観光客が標的にされた残忍な襲撃だったが、驚きではなかった。テロ集団は長らく強力なパキスタン軍の支援を受け、同国内から自由に活動してきた。
これまでと異なるのは、インドがついに反撃の方法を見いだした可能性があること。そこにはパキスタンのテロリスト拠点への軍事攻撃も含まれ、インド当局は攻撃について「慎重かつ正当で、事態をエスカレートさせないよう計画されたもの」と主張している。
報復合戦のリスクはあるが、より強力な立場にあるインドは、自国の有利になるよう紛争をエスカレートさせることも緩和させることもできる。
しかし、インドが直面する脅威はパキスタンからのものだけではない。中国は一貫して、インドにとってテロ支援国のパキスタンを外交的、戦略的に擁護してきた。中国にとって敵の敵は「強固な盟友」なのだ。
その結果、インドは緊密に連携した2つの核保有国に挟まれる形となっている。
パキスタンによる残忍なテロ攻撃から、ドクラム高地やラダック地方における中国の大胆な領土占拠まで、最近の危機は中パの戦略的連携がインドにとっていかに深刻な脅威であるかを浮き彫りにしている。