米ISM製造業景気指数、6月は49.0 関税背景に低調傾向続く

米供給管理協会(ISM)が1日発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.0と、前月付けた6カ月ぶり低水準となる48.5から小幅上昇した。写真はインディアナ州ラファイエットにあるゼネラル・エレクトリックの工場で2017年3月撮影(2025年 ロイター/Alwyn Scott)
Lucia Mutikani
[ワシントン 1日 ロイター] - 米供給管理協会(ISM)が1日発表した6月の製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.0と、前月付けた6カ月ぶり低水準となる48.5から小幅上昇した。それでも低調傾向は依然として続いており、トランプ政権の関税措置が企業の計画能力を引き続き阻害していることを示唆した。4カ月連続で拡大・縮小の分岐点となる50を下回った。
ロイターがまとめたエコノミスト予想はほぼ横ばいの48.8だった。
トランプ大統領の包括的な関税政策を背景に、企業や家計が輸入や商品購入を前倒しする動きが出ており、これが経済情勢の混乱を招いている。エコノミストらは、関税政策に関連して生じる経済データの歪みが解消されるまで時間がかかる可能性が高いとの見方を示している。
機械メーカーが「関税措置による混乱により国内外での販売が完全に停止した」としたほか、コンピューター・電子機器のメーカーが、「状況が依然として不安定すぎるため、(長期的な調達決定を)しっかりと実施することができない」と報告した。
一次金属メーカーは、「関税、混乱、経済の停滞、価格上昇、ウクライナ、イラン、世界の地政学的不安など、すべてが悲惨な状況を生み出しており、あらゆる分野でこうした問題に対処することで疲労が蓄積しつつある」と述べた。
供給業者の納入を示す指数は54.2と、前月の56.1から低下したものの、依然として高水準にある。同指数は50を超えると納入が遅延していることを示す。ISMは「財(モノ)の通関手続きに継続的な遅延」があると指摘している。一方、輸入指数は47.4と、前月の39.9から上昇した。
納入期間の長期化は通常、需要の堅調さに起因するが、今回の長期化は、関税に関連したサプライチェーンのボトルネックを示唆している可能性が高い。製造業は輸入原材料に大きく依存している。
先行きを示す新規受注指数は46.4と、前月の47.6から低下。同指数は5カ月連続で縮小した。
支払い価格指数は69.7と、前月の69.4から上昇。
雇用指数は前月の46.8から45.0に低下した。ISMは「短中期の需要の不確実性により、人員削減が加速している」と指摘した。
ネーションワイドの金融市場エコノミスト、オーレン・クラチキン氏は、「政権は、7月4日以降に貿易協定の発表が期待できると示唆している」と言及。その上で「しかし、政権が一部の関税を維持し、セクターレベルの関税の脅威も依然として存在することから、関税と貿易政策を巡るリスクは引き続き大きな足かせになるとわれわれは考えている」と述べた。