最新記事
対中関税

中国の経済成長は持続不可能...衰退の中でも「台湾侵攻」は起こるのか?

In Decline but Still Dangerous

2025年5月1日(木)16時20分
練乙錚(リアン・イーゼン、香港出身の経済学者)

だが経済減速は兆候の1つにすぎず、その根本的な原因はさらに厳しい。1つ目は中国の人口動態だ。

12年以降、労働人口(15~59歳)は減少に転じ人件費が上昇。60歳以上の高齢者の割合は14年末時点で15.5%に達し、お粗末な年金制度を圧迫した。16年、習近平(シー・チンピン)国家主席は悪名高い一人っ子政策を廃止したが、20年遅かった。コロナ禍の22年には総人口が減少に転じ、不動産バブルが崩壊した。


政府は21年に3人までの出産を認める「三人っ子政策」を打ち出し、早期(早ければ大学在籍中から)の結婚・出産を奨励。産休中の給与を払いたくない企業が子供のいない若い女性の求職者を拒否しているが、若者の反応は冷ややかだ。23年には若者の失業率は20%に達した。「私たちは最後の世代」だと、人口増加策に反発する若者たちは口々に言う。

欧米への輸出には限界が

経済成長を持続不可能にしているもう1つの構造的要因は、党がかたくなに消費より投資を優先していることだ。実際、投資と再投資を積み重ねれば過剰供給で生産能力が拡大しGDP成長率は上昇するが、国内消費が低迷しているため過剰生産物は輸出することになる。

だが欧米諸国は結局、自国の産業と労働者を守るため輸入を制限せざるを得ない。中国の最大の貿易相手国であるアメリカがそうだ。

それ以上に、帝国主義的でパクリにも走りがちな文化的特性が災いする。党が既存の世界秩序を破壊し、アメリカを世界のリーダーと「世界の警察」の座から引きずり降ろしたがっていることもあって、欧米を主要輸出先にできなくなるのは時間の問題だ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国民、「大統領と王の違い」理解する必要=最高裁リ

ワールド

ロシアの26年予算案は「戦時予算」、社会保障費の確

ビジネス

米8月小売売上高0.6%増、3カ月連続増で予想上回

ワールド

トランプ氏、豪首相と来週会談の可能性 AUKUS巡
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 2
    ケージを掃除中の飼い主にジャーマンシェパードがまさかの「お仕置き」!
  • 3
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 6
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 7
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 8
    「なにこれ...」数カ月ぶりに帰宅した女性、本棚に出…
  • 9
    「この歩き方はおかしい?」幼い娘の様子に違和感...…
  • 10
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中