最新記事
経済

トランプ関税を受け、企業と労働者を支援へ...「経済の安定より雇用の安定を重視」の指摘も(中国)

2025年4月25日(金)20時21分
中国がトランプ関税を受け支援策を行う方針

4月25日、 中国共産党中央政治局は会議で、米国による高関税の影響を最も受ける企業と労働者を支援する方針を示した。国営新華社通信が伝えた。写真は北京の人民大会堂前で3月撮影(2025年 ロイター/Florence Lo)

中国共産党中央政治局は25日に開いた会議で、米国による高関税の影響を最も受ける企業と労働者を支援する方針を示した。国営新華社通信が伝えた。

米国との貿易戦争の長期化も想定し、国債発行の加速、金融緩和、雇用を守るための雇用者支援で国内の安定維持を図る方針を改めて示した。

国債発行については、3月に承認した計画に上積みする新たな発表はなかった。上海保銀投資管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は「習指導部は今のところ、大規模な政策刺激を急いでいないようだ。貿易関連のショックの時期や規模を監視し評価するのは時間を要する」と述べた。

新華社によると、中央政治局会議は、状況の進展に応じて新たな措置を機動的に導入し、政策ツールを継続的に改良して雇用と経済を安定させる必要があるとした。「最悪のシナリオ」に向けた包括的な計画、経済を強化する具体的な措置を求めた。

雇用安定に向けては、関税の影響が深刻な企業に対し失業保険資金の還付割合を引き上げる。「困難な状況にある企業の支援へ複数の措置を講じるべきだ。(われわれは)金融支援を強化し、国内販売と対外貿易の統合を加速すべきだ」と声明で述べた。

ANZのシニア中国ストラテジスト、Xing Zhaopeng氏は「政治局会議は『ボトムライン』思考と適切な政策計画を強調し、新たな景気刺激策の規模が予想より小さくなる可能性を示した。経済の安定より雇用の安定に重きを置いている」と指摘した。

声明は、金利と銀行預金準備率を「適時に」引き下げ、サービス部門消費の拡大を図るとした。


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

プーチン大統領、トランプ氏にクリスマスメッセージ=

ワールド

ローマ教皇レオ14世、初のクリスマス説教 ガザの惨

ワールド

中国、米が中印関係改善を妨害と非難

ワールド

中国、TikTok売却でバランスの取れた解決策望む
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...どこでも魚を養殖できる岡山理科大学の好適環境水
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    【銘柄】「Switch 2」好調の任天堂にまさかの暗雲...…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 6
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 7
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 7
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中