最新記事
トランプ関税

トランプ関税の今後は「半導体」と「政権の穴」で読める...予測のポイントを解説

2025年4月25日(金)20時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
トランプ, 米政治, 関税

Chris Kleponis/POOL via CNP/INST via Reuters

<対中交渉が焦点のトランプ関税。ただ長期の先行きを占うのは「半導体」だとニューズウィーク日本版編集長・長岡義博は指摘する>

本記事はYouTube動画「【トランプ関税の急所は半導体と人事】ニューズウィーク編集長が先行きを解説/米製造業の国内回帰は「まず無理」【国際情勢・最新分析】」の内容の抜粋です。

「日本相手だと自動車やコメなどが取り沙汰されているが、トランプ関税の成否は半導体で判断できそうだ」と長岡は指摘する。

トランプ米大統領は4月14日、半導体や半導体製造装置への関税発動に向けた調査を始めたと公表。同月2日に発表した「相互関税」の対象から半導体や関連製品は外されているが、トランプはかねてより別途、高率の関税を課す考えを示してきた。

半導体は軍需・ハイテク産業の基幹部品であるため、その動向は他産業と比してとりわけ重要、というのが長岡の見立てだ。「半導体関税」への動きは国家安全保障の観点やアメリカ国内へ製造業を回帰させることを念頭にしたものだが、「ざっくり言うと、うまくいかない」と長岡は予測する。

現在、世界の先端半導体の供給はTSMC(台湾積体電路製造)社が独占しており、アメリカも同社を含むアジアからの輸入品に依存している。

「関税で他国の半導体製品の輸入をブロックしても、すぐ自国に工場ができて最先端の半導体が作られるわけではない。日本のラピダス社の例を見ても分かるとおり、半導体の生産開始には何年もかかる」

「やっぱり出たか」という感じ

またアメリカで売られているiPhoneの約80%が中国で生産されていることなど、アメリカのハイテク製品のグローバルなサプライチェーンへの輸入依存度はかなり高い。「それを関税でシャットアウトしたらどうなるか。やろうとしてもできない、という話だ」

今後トランプ政権の関税政策はどう展開していくのか?「トランプ政権の安定度と他国との交渉のバランスだと見ている」 と長岡は話す。

ヘグセス国防長官の更迭案が浮上するなど、現状では政権の運営は盤石からはほど遠い。

「ヘグセスは就任するときにかなり揉めたので、更迭案は『やっぱり出たか』という感じではある。トランプ政権が不安定になると、日本など他国が関税交渉で強く言える余地が出てくる。第2次トランプ政権はかなり準備して発足したが、ヘグセスのような『穴』もある。それが今後のポイントの1つとなるだろう」

半導体における関税発動の行方に加え、人事などで政権の屋台骨がどれほど揺らぐかを合わせて考えると、不確実なトランプ政権の先行きの一端が見えてきそうだ。

■ニューズウィーク日本版公式YouTubeチャンネル(https://www.youtube.com/@Newsweek_JAPAN)のチャンネル登録・高評価をよろしくお願いします

ニューズウィーク日本版 トランプの帝国
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年2月10号(2月3日発売)は「トランプの帝国」特集。南北アメリカの完全支配を狙う新戦略は中国の覇権を許し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ベトナム対米黒字、1月は前年比30%増 中国からの

ビジネス

TOPIX採用企業は今期0.2%増益の予想、来期も

ワールド

インド中銀、予想通り政策金利据え置き スタンスは「

ビジネス

トヨタが3年ぶり社長交代、近CFOが昇格 佐藤氏は
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:トランプの帝国
特集:トランプの帝国
2026年2月10日号(2/ 3発売)

南北アメリカの完全支配を狙うトランプの戦略は中国を利し、世界の経済勢力図を完全に塗り替える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新世論調査が示すトランプ政権への評価とは
  • 2
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近したイラン製ドローンを撃墜
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    「右足全体が食われた」...突如ビーチに現れたサメが…
  • 5
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 6
    「反トランプの顔ぶれ」にMAGAが怒り心頭...グリーン…
  • 7
    ユキヒョウと自撮りの女性、顔をかまれ激しく襲われ…
  • 8
    エプスタインが政権中枢の情報をプーチンに流してい…
  • 9
    関税を振り回すトランプのオウンゴール...インドとEU…
  • 10
    地球の近くで「第2の地球」が発見されたかも! その…
  • 1
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 2
    日本への威圧を強める中国...「レアアース依存」から脱却する道筋
  • 3
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 4
    致死率は最大75%のニパウイルスが、世界規模で感染…
  • 5
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 6
    「出禁」も覚悟? ディズニーランドで緊急停止した乗…
  • 7
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 8
    高市首相の発言は正しかった...「対中圧力」と「揺れ…
  • 9
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中