最新記事
トランプ2.0

「中東のフレンチリビエラ構想」でわかったトランプに欠如した能力

Geraldo Rivera Rips Trump's Gaza Plan: 'Utter Lack of Common Sense'

2025年2月6日(木)11時09分
ナタリー・ベネガス
パレスチナ国旗とトランプ

パレスチナ自治区ガザも占領するつもりだったトランプに世界が唖然(2月5日)Photo by Artur Widak/NurPhoto

<「トランプ大統領には、既にそこに住んでいる人たちのことはまったく見えていない」と保守系の元友人も批判>

米保守系FOXニュースの司会者ジェラルド・リベラは水曜日、ドナルド・トランプ大統領が提案したガザを 「占領 」する案を非難し、「非常識極まりない」と述べた。

2月4日にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した後、トランプ大統領はガザ地区のパレスチナ人を近隣諸国に移住させ、ガザはアメリカが占領すると語った。ガザを統治してきたイスラム勢力ハマスが2023年10月7日にイスラエルを奇襲して以来、壊滅的な戦争が続いきたことから、米国主導で復興すると提案した。

 

トランプ大統領の提案は、イスラエルとパレスチナがそれぞれ独立国家として共存するという2国家解決を葬り去る可能性が高い。悲願である帰還も国家樹立も叶わなくなるのだ。

リベラは著名な保守派であり、一時はトランプと友人関係にあったが、その後、移民問題を含むいくつかの問題でトランプを非難している。

リベラはX(旧ツイッター)への投稿で、すでにそこに住んでいる人々に対する 「完全な常識の欠如 」を指摘し、「彼らにどこへ行けというのか?」と疑問を投げかけ、トランプの計画を長文で非難した。

「ガザ地区の将来についてのトランプ大統領の考察は劇的で、大胆で、歴史的なものだ。常識が欠如している点、そしてすでにそこに住んでいるパレスチナ人の人権を認識すらしていない点で、息をのむようなものでもある」

「彼らにどこへ行けというのだろう? 無国籍で、仕事もなく、悲嘆に暮れ、飢えて不満と怒りに満ちた150万人、武装民兵も混じった難民を受け入れる国がどこにあるのか」

アメリカ・イスラム関係評議会は火曜日、声明を発表した: 「ガザはパレスチナの人々のものであり、米国のものではない。パレスチナ人をその土地から追放しようというトランプ大統領の呼びかけは、絶対にありえない。もしパレスチナ人が何らかの形でガザから強制的に追放されるようなことがあれば、広範な紛争を引き起こし、国際法の棺桶に最後の釘を打ち込み、わが国の国際的なイメージと地位の残骸を破壊するだろう。

ネタニヤフ首相は週明けにも、ワシントン訪問の一環として、他の政権高官や連邦議会議員と会談する予定だ。

一方、停戦の第二段階をめぐる交渉は継続される予定で、イスラエルはハマスとの間接協議のために代表団をカタールに派遣することを確認した。

トランプ大統領は記者団に対し、イスラエルがヨルダン川西岸地区の一部を併合する可能性について、今後数週間のうちに声明を発表すると述べた。ガザを 「占領 」する計画やスケジュールはまだ示していない。

ニューズウィーク日本版 日本時代劇の挑戦
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月9日号(12月2日発売)は「日本時代劇の挑戦」特集。『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』 ……世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』/岡田准一 ロングインタビュー

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

焦点:闇に隠れるパイロットの精神疾患、操縦免許剥奪

ビジネス

ソフトバンクG、米デジタルインフラ投資企業「デジタ

ビジネス

ネットフリックスのワーナー買収、ハリウッドの労組が

ワールド

米、B型肝炎ワクチンの出生時接種推奨を撤回 ケネデ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 5
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 6
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 7
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 8
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 9
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 6
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中