最新記事
アメリカ政治

国防長官にFOXニュース司会者、トランプ人事に驚きと困惑...共和党議員には支持も

2024年11月14日(木)15時52分
保守系メディアFOXニュースで司会者を務めたピート・ヘグセス氏

トランプ次期米大統領が国防長官に退役軍人で、保守系メディアFOXニュースで司会者を務めたピート・ヘグセス氏(44)を起用すると発表したことに13日、米国防総省では驚きの声が上がった。写真はニューヨークで2016年に撮影(2024年 ロイター/Shannon Stapleton)

トランプ次期米大統領が国防長官に退役軍人で、保守系メディアFOXニュースで司会者を務めたピート・ヘグセス氏(44)を起用すると発表したことに、米国防総省では驚きの声が上がった。欧州の同盟国には困惑も広がるが、共和党議員の間には支持する動きも見られる。

ヘグセス氏は政府で要職を務めた経験がない。これまでに国防総省幹部による政策を「(社会正義に目覚めた)ウォーク」として批判。女性の戦闘参加に反対したほか、米軍制服組トップのブラウン統合参謀本部議長がこの職にあるのは黒人だからではないかとも述べている。


 

ヘグセス氏の起用に国防総省では衝撃が走った。複数の幹部が個人的な見解としてヘグセス氏の資質に疑問を呈し、ある幹部はもっと下位の官職でも務めるのは困難だと述べた。

民主党議員の間でも、ヘグセス氏が130万人の米軍を率いるのは難しいとの見方が出ている。ジェイソン・クロウ下院議員は「(国防長官は)テレビ司会者が就くような、入門レベルの職務ではない。上院はこの指名を拒否すべきだ」と述べた。下院軍事委員会の民主党トップのアダム・スミス議員もヘグセス氏の起用に反対の立場を表明した。

ヘグセス氏が国防長官に就任すれば、トランプ氏の公約通りに、保守派が批判している多様性の促進など「進歩的な政策」を進める軍幹部を一斉に解任する可能性がある。

欧州の複数の高官はロイターの取材に、ヘグセス氏の見解や、重要な課題での立ち位置についてはほぼ何も分からないと語った。欧州の国防当局高官は「彼のことは聞いたことがない。よく知るためには直接会う必要がある」と述べた。また別の高官は、最も適任だとは思えないが、「どの国にも閣僚を選ぶ権利があり、必要であれば対応する」とした。

ヘグセス氏は安全保障上の主要な問題に対する自分の考えを具体的に明示していないが、北大西洋条約機構(NATO)については明確に懐疑的な見解を示している。

共和党議員の中にはヘグセス氏を支持する動きもある。上院軍事委員会で共和党トップを務めるロジャー・ウィッカー議員はCNNテレビでヘグセス氏の国防長官起用について、「心配していない。一緒に働けることになってうれしい」と述べ、資質に問題はないとの見方を示した。共和党ではケビン・クレーマー上院議員がヘグセス氏は「素晴らしいやつだ」と述べたほか、テッド・バッド上院議員も「すごい人物だ」と評した。



[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 高市早苗研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月4日/11日号(10月28日発売)は「高市早苗研究」特集。課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら



日本企業
タイミーが仕掛ける「一次産業革命」とは? 農家の「攻めの経営」を後押しするスキマバイトの可能性
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

北朝鮮、非核化は「夢物語」と反発 中韓首脳会談控え

ビジネス

焦点:米中貿易休戦、海外投資家の中国投資を促す効果

ビジネス

米国株式市場=反発、アマゾンの見通し好感 WBDが

ビジネス

米FRBタカ派幹部、利下げに異議 FRB内の慎重論
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 5
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 6
    【クイズ】12名が死亡...世界で「最も死者数が多い」…
  • 7
    必要な証拠の95%を確保していたのに...中国のスパイ…
  • 8
    海に響き渡る轟音...「5000頭のアレ」が一斉に大移動…
  • 9
    【ロシア】本当に「時代遅れの兵器」か?「冷戦の亡…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    【話題の写真】自宅の天井に突如現れた「奇妙な塊」…
  • 6
    【ウクライナ】要衝ポクロウシクの攻防戦が最終局面…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    女性の後を毎晩つけてくるストーカー...1週間後、雨…
  • 9
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 5
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 8
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 9
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中