ChatGPTなどの生成AIブームと米大統領選 ディープフェイクにどう対処すべきか
AIによる画像生成サービスで首位に立っているのが、昨年誕生したミッドジャーニーだ。同社のサーバー「ディスコード」のユーザーは1600万人。有名人や政治家に酷似した画像を生成できるためAIデザイナー・アーティストの間で人気が高い。画像の量や生成スピードなどに応じ、料金は無料から月額60ドルまで選べる。
ミッドジャーニーはコメント要請に応じなかった。同社のデービッド・ホルツCEOは先週、ディスコード上のチャットで、大統領選に向けて偽情報対策のためにサービスに変更を施す可能性が高いと述べている。
共和党がAI生成画像で広告
業界が生成AIの悪用防止に努める一方、政界自体が生成AIを選挙戦に活用しようとする動きもある。
今のところ、AIが生成した米国の政治広告は、共和党全国委員会(RNC)が4月末に公表した30秒広告が唯一の著名な事例だ。全面的にAIが生成したことをRNCが公表しているこの広告は、バイデン氏が再選されれば中国が台湾に侵攻し、サンフランシスコは犯罪が横行して閉鎖されるという、破滅的なシナリオをフェイク画像によって表現している。
ロイターは共和党の大統領選候補者全員にAIの利用についてアンケートを実施。大半は回答しなかったが、ヘイリー前国連大使の陣営は利用していないと答えた。
一部陣営の後援者にとっては、コストを下げて強力な相手と闘いやすくするという意味で、選挙戦用の電子メールや郵便物、広告の作成に生成AIを使うことは抗い難い魅力のようだ。
ミシガン州で共和党の選挙運動に携わっているジョン・スミス氏は、ITに強い若者に対抗できるよう、ソーシャルメディアや広告作成へのAI活用法を学ぶ集会を開いている。「65歳で職業は農業、郡政委員を務める男性は、テクノロジーを使う若い連中に簡単に予備選で打ち負かされてしまうだろう」と危機感を口にした。
(Alexandra Ulmer記者、 Anna Tong記者)
