最新記事

安全保障

台湾海峡めぐる緊張激化 中国との衝突を避けたい米海軍に課題

2022年8月5日(金)19時22分

独立系機関の米海軍協会によると、現在米海軍に配備されている111隻の戦艦の半数以上が、日本を拠点とし西太平洋からインド洋まで担当する第7艦隊の管轄下にある。

米海軍は原子力空母「ロナルド・レーガン」、ミサイル巡洋艦「アンティータム」、駆逐艦「ヒギンズ」、強襲揚陸艦「トリポリ」の4隻を台湾東方の海域に配備した。

F―35戦闘機を搭載した別の強襲揚陸艦が日本の近くの港に停泊している。また、攻撃型潜水艦もこれらの編隊近くにいる可能性が高いと専門家はみている。

空母「ロナルド・レーガン」も南シナを避けて移動

ロナルド・レーガンを中心とする空母打撃群の動向は、ペロシ氏ら米議員代表団がアジアに来訪する数日前から注視されていた。

ラジオ・フリー・アジアは7月、ロナルド・レーガン空母打撃群が南シナ海南部のスプラトリー諸島にある中国の要塞付近をパトロールした後、月内にベトナム中部のダナン港に寄港する予定であると報じた。

しかしその後、打撃群がルートを変更し、7月22日から5日間、シンガポールに寄港することが判明。中国が7月16日から20日にかけて、パラセル諸島のさらに北にある基地の周辺10万平方キロメートルを範囲とする演習を開始したためとみられる。

米国とベトナムの両政府関係者ともに、このルート変更や理由についてコメントしていない。

米海軍の公式フェイスブックページによると、ロナルド・レーガン空母打撃群はその後、フィリピン群島の狭い海域を通り、台湾の西の海域に達した。

シンガポールの安全保障専門の研究者コリン・コー氏は、フィリピンと南シナ海の間を北上するのではなく、空母がフィリピンのサンベルナルディノ海峡を通過するのは異例だと指摘。「中国を不必要に刺激せずに必要な場所に移動できるよう、慎重に調整された配備だろう」と語った。

(Greg Torode記者、Idrees Ali記者)

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米地裁、テキサス州の選挙区割りを一時差し止め 共和

ワールド

米フリーポート、来年7月までにグラスバーグ鉱山再開

ワールド

WHO、来年6月までに職員2000人以上削減へ 米

ビジネス

メタがアプリ買収巡る反トラスト法訴訟で勝訴、地裁は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中