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ウクライナ侵攻

反プーチン派に残ったのは絶望と恐怖と無力感...ロシア国民の本音とは【現地報告】

BACK TO THE U.S.S.R.

2022年4月28日(木)17時35分
アンナ・ネムツォーワ(米オンライン誌「デイリー・ビースト」モスクワ支局員)

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ブヌコボ国際空港でロシアからの出国を急ぐ人々(3月3日) Newsweek Japan

外国に何らかのコネがあるロシア人も、今はなかなか国境を越えられない。欧米諸国に不動産を所有しているとか、そこに知人や親戚がいる人でさえだ。アンナも、姉妹が暮らす日本が恋しいと言う。東京の目黒川で花見をし、恵比寿でビールを飲んだのは楽しい思い出だ。

しかし今は、しかるべきビザを持つ人でも外国へ出るのは難しい。カリーニングラードはポーランドとリトアニアの間にあるロシアの飛び地だが、新型コロナウイルスの感染対策で国境が閉鎖されているため、隣国への脱出はできない。

だからみんな「取りあえずロシア本土へ移動する航空券を確保したい。でも、さっき調べたらサンクトペテルブルク行きで残っていたのは1枚だけで、ビジネスクラスで2000ドルもした」とアンナは嘆く。

「みんな軍隊に招集されるという噂がある。商店の棚は空っぽで、先日は生理用品も買えなかった」と彼女は苦笑する。「こんな調子じゃ、ロシアは石器時代に逆戻りね」

「現状は事実上の戒厳令下だ」

ロシア国内に残る数少ない独立系メディアも活動を禁じられた。最も歴史のある独立系ラジオ局「モスクワのこだま」も止められた。

「もうロシアのジャーナリズムは死んだ。戦争という言葉を使うことさえ許されない現状は、事実上の戒厳令下だ。ロシア軍の蛮行については何も伝えられない」と言ったのは、ウクライナから本誌の電話取材に答えたロシア人ジャーナリストのピョートル・ルザービンだ。

侵攻開始の2月24日、彼は妻でウクライナ人ジャーナリストのナタリアと一緒にウクライナの首都キエフにいて、遠くから聞こえる爆発音に不気味な予感を抱いたという。情けない状況だが、ウクライナにいる限りその事実をきちんと報じることができる。「もしいまモスクワにいたら、気が狂っていたかもしれない」

その1週間後には、ロシア国内の一般市民もわれ先に国外へ逃れようとし、空港は大混乱になった。1917年のロシア革命では貴族や富裕層が続々と海外へ逃れたが、今度は庶民が逃げたがっている。3月半ばまでに、IT系の技術者やビジネスマンを含め、25万人以上のロシア国民が国外へ脱出していた。

「ギフト・オブ・ライフ」など、病気の子を支援するロシアの主な慈善団体は政府に、ウクライナでの暴力をやめるよう呼び掛けてきた。

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