最新記事

観光

タイの「ゴルフで隔離」プランなど......世界で試みられるコロナ対応の観光企画

2021年4月2日(金)16時00分
冠ゆき

タイ政府が企画する「ゴルフ隔離」プランに韓国人ビジネスマンが訪れる SCMP-YouTube

<新型コロナ感染症の拡大で世界中で打撃をうけている観光業。現在の状況でも、世界各地でさまざまな工夫をこらした観光プランが行われている......>

国連世界観光機関(UNWTO)によれば、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた2020年、国外への観光客は74%減少した。国際線利用者数は、前年と比べ10億人減だ。この未曾有の危機にあたり、世界各地の観光業ではそれぞれさまざまな打開策を模索している。その中から最近のものをいくつか紹介しよう。

タイ政府による「ゴルフ隔離」プラン

タイ保健省コロナ緊急対策センター(EOC)は、入国した渡航者が2週間の隔離期間をゴルフリゾートで過ごす「ゴルフ隔離」プログラムを発表している。隔離中は毎日医師の検診を受け、2週間で合計3度のPCR検査がある。ゴルフ場施設外には出ることはできないが、好きなだけゴルフを楽しめるというものだ。

ロイター通信のインタビューに答える隔離中の韓国人ビジネスマンは「ここはゴルフ天国だ」と満足げだ。2週間の費用は249万ウォン(約24万円)。ゴルフクラブのソウルでの運営責任者によれば、この「ゴルフ隔離」パッケージへの問い合わせは急増中で、2020年2月から停滞していたビジネスがようやく動き始めたと、内外の期待を集めている。EOCは、このプランに利用できる5つのゴルフ場を発表している。

Thailand's 'golf quarantine' welcomes South Korean travellers .

寄港地のないクルージング

イギリスのP&Oクルーズは、今夏6月27日から9月18日にかけて、「目的地のないクルーズ旅行」を企画している。参加資格があるのは、イギリス居住者のみで、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種を済ませた人のみ対象となる。出発地はサウサンプトンで、出発日時によって、3泊~6泊のツアーの選択肢があるが、航行ルートははっきりと決まっていない。というのも、寄港地があるわけではなく、すべて船上だけで過ごすプランなのだ。そのツアーの日程にあわせて、晴天で快適な天候の地域を目指し、船上から海岸線や島々の美しさを眺めるという。船の上では、グルメ体験のほか、プール、ショッピング、スパなどの施設を楽しめるというツアーだ。

また、CNNによれば、ロイヤル・カリビアン社もまたワクチン接種者を対象としたクルーズ旅行を計画している。こちらは5月にイスラエル出発で、ギリシアの島々とキプロス島を目的地としている。乗客も乗組員もワクチン接種者のみとする傾向は、今後さらに他のクルーズ会社にも広がると思われる。

P&O Cruises: No vaccine, no cruise!
今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国万科の債券価格が下落、1年間の償還猶予要請報道

ビジネス

午前の日経平均は反発、大幅安の反動 ハイテク株の一

ワールド

イタリア製造業PMI、11月は節目の50超え 2年

ワールド

原油先物続伸、米・ベネズエラ緊張など地政学リスクで
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 2
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カニの漁獲量」が多い県は?
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    600人超死亡、400万人超が被災...東南アジアの豪雨の…
  • 9
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 10
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中