最新記事

コロナ禍の社会

コロナ禍で資産急増? 世界の大金持ちは「より大金持ち」に

2020年9月24日(木)15時00分
安部かすみ

コロナ禍、貧富の差は広がった......  REUTERS/Lindsey Wasson

<アメリカでは新型コロナウイルス感染の流行後、億万長者の個人資産が急増。これにより貧富の差がさらに広がっている...... >

アメリカでは新型コロナウイルス感染の流行が始まった3月あたりから、億万長者の個人資産が急増している。これにより貧富の差が広がり、社会格差がさらに進んでいる。

米シンクタンクの政策研究所(IPS)が発表した「富の不平等」に関する最新の調査「ビリオネア・ボナンザ2020」によると、3月18日から9月15日までの間に、米国内で長者番付入りしている643人の資産総額が29%増加し、8,450億ドル(約88兆4600億円)に達したという。

この増加に伴い、純資産総額も2兆9500億ドル(約309兆円)から3兆8000億ドル(約398兆円)に増加した。これは月に換算すると1140億ドル(約11兆9000億円)、1日あたり47億ドル(約4900億円)の利益にあたる。

最も資産額を増やした大金持ちは?

この643人の上位には、ジェフ・ベゾス(アマゾンCEO)やビル・ゲイツ(マイクロソフト創業者)など、誰もが知る顔ぶれが並ぶ。ほかにもマーク・ザッカーバーグ(フェイスブックCEO)、イーロン・マスク(テスラCEO)、ラリー・エリソン(オラクルCEO)、マイケル・ブルームバーグ(ブルームバーグ創業者、元ニューヨーク市長)、ラリー・ペイジ(グーグル共同創業者)など、錚々たる面々が名を連ねている。

この中でも感染拡大やロックダウンによる社会の変化の「恩恵」を最も受けている人物は、世界長者番付1位のジェフ・ベゾスだ。同氏の純資産総額2000億ドル(約20兆円)で、3月18日以降のこの半年で個人資産が732億ドル(約7兆6500億円)上昇したと報じられた。世界各地の都市でロックダウンとなり、eコマース利用者が増えたことで、アマゾンの株価は今年に入り60%以上も上昇した。その結果、ベゾスの保有資産も急増した。

「コロナ危機により誰もが打撃を受けた結果になると思ったのですが」とは「ビリオネア・ボナンザ2020」を調査発表した政策研究所のディレクター、チャック・コリンズ。「打撃を受けたのは、労働者層など中間層以下の人々だけ。つまり、パンデミックは人々の不平等に拍車をかけた」。

新型コロナにより、この半年でアメリカ国内では19万7000人以上の人々がで死亡し、5000万人以上が失業した。

米労働統計局による発表によると、コロナ禍以前は3%台(500万人台)だった失業率が、4月の時点で14.7%(失業者数2307万)まで上昇。経済活動が再開して以来やや回復し、8月の時点で8.4%に落ち着くなど、5ヵ月ぶりに10%を下回ったが、依然失業者数は1384万人と高い数値となっている。そして経済的打撃を最も受けているのは、貧困層および中産階級、そして社会的弱者だ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

スペイン、今夏の観光売上高は鈍化見通し 客数は最高

ワールド

トランプ氏、カナダに35%関税 他の大半の国は「一

ビジネス

トランプ氏の銅関税、送電網などに使用される半製品も

ワールド

日米韓が合同訓練、B52爆撃機参加 国防相会談も開
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 3
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 6
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 9
    ハメネイの側近がトランプ「暗殺」の脅迫?「別荘で…
  • 10
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中