最新記事

トランプ政権

トランプの元側近で極右のバノン、「壁」建設資金の私的流用容疑で逮捕

Former Trump Adviser Steve Bannon Arrested on Criminal Fraud Charge

2020年8月21日(金)15時01分
ジェイソン・レモン

罪状認否を終え裁判所から出てくるバノン(8月20日、ニューヨーク)  Andrew Kelly-REUTERS

<2016年大統領選での勝利の立役者であるスティーブ・バノンの逮捕・起訴にトランプ側は一切の関与を否定>

ドナルド・トランプ米大統領の最側近だったスティーブ・バノン元首席戦略官が8月20日に米ニューヨーク州南部地区の連邦検察に逮捕された。トランプが公約に掲げていたメキシコとの「国境の壁」建設のためクラウドファンディングで集めた資金を私的に流用した詐欺の疑いだ。

オードリー・ストラウス検事代理は声明を出し、「被告は国境の壁の建設を望む何万人もの献金者から何百万ドルの資金を募り、その全額を壁の建設に使うように見せかけて、彼らをだました」と述べた。

「被告らは献金者たちに、(国境の壁建設に取り組むクラウドファンディング・プロジェクト)『ウィ・ビルド・ザ・ウォール(我々は壁を建設する)』の創設者ブライアン・コルフェージは一切の報酬を受け取らないと言っていた。だが実際には彼にこっそりと何万ドルもの金を流用し、私腹を肥やしていた」

ABCによれば、バノンは豪華ヨットにいるところを逮捕されたという。

ホワイトハウスのケイリー・マケナニー報道官は、バノンの逮捕について公式声明を出し、トランプがクラウドファンディングによる資金調達を支持したことはないと述べた。

トランプは一切の関与を否定

「周知のとおり、トランプ大統領はこのプロジェクトに一切関与していない。クラウドファンディングについては、バノンが目立つためにやっているだけだろうと思っていた」とマケナニーは述べ、トランプが過去に、クラウドファンディングとは距離を置く発言をしていたことにも言及した。

「トランプ大統領は常々、壁の建設は政府がやるべきことであり、民間人が扱うには規模が大きすぎるし複雑すぎると考えてきた」とし、バノンが首席補佐官を辞めて以降、トランプは彼とは「関わっていない」とつけ加えた。

今回起訴されたのは、バノンと3人の仲間――ティモシー・シェー、ブライアン・コルフェージ(イラク戦争に参加した退役軍人)とアンドリュー・バドラトだ。

極右ニュースサイト「ブライトバート」の共同創業者であるバノンは、2016年の米大統領選挙でトランプ陣営のアドバイザーを務めた。トランプが大統領に就任した2017年1月に、大統領首席補佐官・上級顧問として政権入りしたものの、同年8月に事実上解任されている。

<参考記事>トランプ元側近バノン、 欧州で極右の元締めに?
<参考記事>トランプ政権の黒幕で白人至上主義のバノンが大統領令で国防の中枢に

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア産肥料を米企業が積極購入、戦費調達に貢献と米

ビジネス

ECB、利下げごとにデータ蓄積必要 不確実性踏まえ

ビジネス

ソニー、米パラマウントに260億ドルで買収提案 ア

ビジネス

ドル/円、152円台に下落 週初から3%超の円高
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中