最新記事

経歴詐称

すべて偽物だった......韓国系アメリカ人高官が驚くような経歴詐称疑惑で辞任

2019年11月20日(水)18時10分
松岡由希子

TIMEの表紙も偽物だった......

<30代半ばでトランプ大統領に抜擢された韓国系アメリカ人高官が、驚くべき経歴詐称の疑いが報じられたことを受けて辞表を提出した......>

30代半ばという若さでトランプ大統領に抜擢され、2019年4月にアメリカ国務省紛争安定化担当副次官捕に就任した韓国系アメリカ人のミナ・チャンは、一部メディアで経歴詐称の疑いが報じられたことを受けて、11月18日、ポンペオ国務長官に辞表を提出した。

「チャンの経歴には虚偽や誇張がある」

米放送局NBCは、11月13日、「チャンの経歴には虚偽や誇張がある」と報道。チャンは、公式プロフィールにおいて、ハーバード大学経営大学院(HBS)の卒業生であるとしていたが、実際は7週間の短期プログラムを受講したのみで学位は取得していない。

アメリカ陸軍戦略大学を卒業したとの経歴についても、4日間のセミナーに参加したのみという事実とは乖離している。また、副次官捕の就任直前まで代表を務めていた非営利団体「リンキング・ザ・ワールド」では、海外に多数の学校を建設したほか、ドローンを活用した災害対応にも取り組んでいたというが、NBCの取材では、そのような活動実績は認められなかったという。

「この表紙は偽物である」と公式な見解を発表

「リンキング・ザ・ワールド」の公式動画では、チャンが米誌タイムの表紙を飾ったことを画像付きで紹介していたが、タイムは「この表紙は偽物である」との公式な見解を発表。

「タイムのロゴはフォント『BemboBook』を使って作成されたもので、本物とは異なり、表紙右上の『The Perils of Plastic』という記事タイトルは、スティーブ・ジョブスを特集した2010年4月12日号 から流用したものだ」と述べている。なお、現時点では、この表紙を使った「リンキング・ザ・ワールド」の動画はすべて削除されている。

辞表を提出したが、国務省の対応に不満

米政治メディア「ポリティコ 」が入手したチャンの辞表 では、一連の経歴詐称疑惑について「当てつけだけの誹謗中傷で、私の経歴や人格が攻撃された」と主張し、「私の上司は、私を守ることもなく、私が真実に立ち向かい、私に対する濡れ衣について答えることも許してくれなかった」と国務省の対応に不満を示している。

また、「国務省のモラルは地に落ち、かつて米国の外交の特徴であったプロフェッショナリズムや同僚間の協調関係は消え去ってしまった」と国務省の組織風土についても厳しく批判。「現時点では、辞任することが、道義上、倫理上、私にとって唯一の選択肢だ」と述べている。
国務省は、現時点では、チャン氏の辞任に関して、何らコメントを出していない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドルおおむね下落、米景気懸念とFRB

ビジネス

ステーブルコイン普及で自然利子率低下、政策金利に下

ビジネス

米国株式市場=ナスダック下落、与野党協議進展の報で

ビジネス

政策不確実性が最大の懸念、中銀独立やデータ欠如にも
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 3
    「路上でセクハラ」...メキシコ・シェインバウム大統領にキスを迫る男性を捉えた「衝撃映像」に広がる波紋
  • 4
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    【銘柄】元・東芝のキオクシアHD...生成AIで急上昇し…
  • 8
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 9
    長時間フライトでこれは地獄...前に座る女性の「あり…
  • 10
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 6
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 7
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 8
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中