最新記事

日ロ関係

ロシア、北朝鮮問題を理由にした在日米軍拡大に懸念 日ロ外相会談

2017年11月25日(土)08時36分

11月24日、ロシアのラブロフ外相(右)は河野太郎外相と会談し、北朝鮮問題を根拠に日本が自国の領土を北東アジア地域における米国の軍事拠点として提供しているのではないかとロ懸念を表明した。写真は24日、モスクワで撮影(2017年 ロイター/Sergei Karpukhin)

ロシアのラブロフ外相は24日、モスクワを訪問中の河野太郎外相との会談後の共同記者会見で、北朝鮮問題を根拠に日本が自国の領土を北東アジア地域における米国の軍事拠点として提供しているのではないかとロシアは懸念していると述べた。

ラブロフ外相は「北朝鮮による脅威を根拠に、日本と韓国が米国の世界的なミサイル防衛システムの(北東アジア)地域における配備地になりつつあるのではないかと、ロシアは事実に基づき深刻に懸念している」と述べた。

そのうえで「ロシアは日本との間に直接的な問題を抱えておらず、日本にリスクがあるとは考えていない。ロシアの近隣諸国の領土に米国の世界的なミサイル防衛システムが配備されることに対するリスクがあると考えている」と述べた。

日本側は今回の会談で北方領土に焦点を当てたい意向だったが、ラブロフ外相にかわされた格好となる。

河野外相はラブロフ外相の発言を受け、日本、および日本の同盟国は北朝鮮の体制変更は望んではいないとし、北朝鮮のミサイルが日本の国土の上空を通過する事態を受け、日本は自国を守る必要があると説明。

こうした事態は過去に例がなく、日本やロシアだけでなく、国際社会全体に対する重大な脅威となっているとし、北朝鮮に対し核・ミサイル開発の放棄に向け最大の圧力をかけるためにあらゆる手段を行使する必要があるとの考えを示した。

両外相は北方領土問題については、日ロ経済協力推進などで進展がみられたと述べたものの、主権問題など中心的な論点を巡り進展があったかについては明らかにしなかった。

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2017トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【お知らせ】ニューズウィーク日本版メルマガのご登録を!
気になる北朝鮮問題の動向から英国ロイヤルファミリーの話題まで、世界の動きを
ウイークデーの朝にお届けします。
ご登録(無料)はこちらから=>>

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

FIFAがトランプ氏に「平和賞」、紛争解決の主張に

ワールド

EUとG7、ロ産原油の海上輸送禁止を検討 価格上限

ワールド

欧州「文明消滅の危機」、 EUは反民主的 トランプ

ワールド

米中が閣僚級電話会談、貿易戦争緩和への取り組み協議
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 2
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 3
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺るがす「ブラックウィドウ」とは?
  • 4
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開…
  • 5
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 6
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 9
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 10
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 9
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 10
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中