最新記事

中国政治

南シナ海で橋頭堡の建設進める中国 より強硬に領有権主張も

2017年11月2日(木)17時44分

南シナ海問題は、11月3─14日の日程で行われるトランプ米大統領のアジア歴訪においても取り上げられそうだ。

「南シナ海を巡る緊張について、引き続き懸念している。特に、領有権が争われている地域で、埋め立てや軍事化を行ったり、領有権主張のために強圧的な手段に頼ろうとする一部の当事者について懸念している」と、米国務省のマイケル・カービー報道官は述べた。

「われわれは継続的に、中国や他の当事者に対し、領有権が争われている島しょにおけるさらなる埋め立てや施設建設、軍事化を控えるよう呼び掛けてきた」と、同報道官は付け加えた。

ロイターの問い合わせに対し、中国国防省の報道官は、これらの島は中国の領土だとの主張を繰り返した。

「南シナ海にある、われわれの島や岩礁における建設や、必要な防衛施設建設を指して、軍配備の拡大と呼ぶことはできない。南シナ海情勢は、一般的に良好だと考えており、当事者は協力して南シナ海の平和と安定の維持に努めるべきだ」と報道官は述べた。

中国の崔天凱・駐米大使は10月30日、南シナ海問題の解決に向けた地域の努力に米国は「干渉」すべきでないと発言した。

年間3兆ドルもの製品が輸送されるこの海域の長期的安全保障の展望について米国政府が懸念を深めるなか、中国は、領有権を主張する当事国であるフィリピンをなだめようとする一方で、東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国との対話も加速している。

米太平洋軍のハリス司令官は10月初旬にシンガポールで行ったスピーチで、米国政府は、北朝鮮問題で中国の協力を求めてはいても、もし中国が国際ルールや規範を侵す場合にはその責任を問うと述べた。

「東シナ海や南シナ海における挑発的な行動をやめるよう、中国にさらなる努力を求めたい。こうした領有権が争われている海域で事実上の主権を確立するため、同国は軍事力を拡大し有利な立場を築こうとしている」と、太平洋地域の米軍トップであるハリス司令官は述べた。

中国が自身の主権が及ぶと主張する境界線「九段線」による海域は、南シナ海のほぼ全域にあたり、ベトナムやフィリピン、マレーシア、台湾、ブルネイがそれぞれ領有権を主張する海域と重なっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EUと米、ジョージアのスパイ法案非難 現地では抗議

ビジネス

EXCLUSIVE-グレンコア、英アングロへの買収

ワールド

中国軍機14機が中間線越え、中国軍は「実践上陸訓練

ビジネス

EXCLUSIVE-スイスUBS、資産運用業務見直
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 10

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中