ニュース速報
ビジネス

再送-NY外為市場=ドル下落、低調な国債入札と米減税法案巡る懸念が重し

2025年05月22日(木)06時10分

ニューヨーク外為市場で、ドルが広範な通貨に対し下落した。(2025年 ロイター/Dado Ruvic/Illustration)

(最終段落の誤字を修正して再送しました)

[ニューヨーク 21日 ロイター] - ニューヨーク外為市場で、ドルが広範な通貨に対し下落した。トランプ政権の減税・歳出法案を巡る懸念のほか、米財務省が実施した20年債入札の結果が低調だったことが重しになった。

財務省が実施した160億ドルの20年債入札は最高落札利回りが5.047%と、入札前取引を上回った。投資家が国債を引き受けるにあたりプレミアム(上乗せ金利)を要求したことが示唆され、米国の資産から投資家が距離を置き始めている可能性が示された。応札倍率は2.46倍だった。

入札結果を受け、20年債利回りは5.127%と、2023年11月以来の水準に上昇。こうした動きに伴い、外国為替市場でドルが円とユーロに対し下げ幅を拡大した。

アクション・エコノミクス(サンフランシスコ)のグローバル債券分析マネジングディレクター、キム・ルパート氏は、20年債入札が軟調だったことについて「財政懸念の中で米国の資産への需要が弱まり『米国売り』が進んでいるという状況に合致している」とし、「議会下院で討議されている税制法案によって、懸念が一段と膨らんでいる」と述べた。

超党派のアナリストによると、トランプ大統領が掲げる減税で米国の債務は最大5兆ドル増加する可能性がある。

終盤の取引でユーロ/ドルは0.4%高の1.1334ドル。一時は2週間ぶりの高値を付けた。

ドル/円は0.6%安の 143.62円。日本の30年債利回りが21日の取引で過去最高を更新したことも円の上昇につながった。フォレックスドットコムのアナリスト、ファワド・ラザクザダ氏は「日本国債の利回り上昇で米国債利回りとの格差が縮小し、ドルを保有する投資妙味が減退する」としている。

市場関係者は、カナダ西部のバンフで開かれている主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議の傍らで、米当局者が国別の貿易協議の一環としてドル安を画策している可能性を警戒。 加藤勝信財務相はG7財務相・中央銀行総裁会議に先立ち、G7に併せベセント米財務長官と「会談を行うことを前提に現在、日程の調整をしている。その際には為替を含め、2国間の諸問題について議論を行いたい」と語った。  

暗号資産(仮想通貨)ビットコインはリスク選好度の改善を背景に10万9760.08ドルに上昇し、過去最高値を更新した。

ドル/円 NY終値 143.67/143.69

始値 143.66

高値 143.89

安値 143.29

ユーロ/ドル NY終値 1.1329/1.1333

始値 1.1338

高値 1.1362

安値 1.1316

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

鳥インフル確認のブラジル、28日間の観察期間入り 

ワールド

再送石破首相、米大統領とカナダG7での会談を申し合

ワールド

ガザの医療システムは限界、イスラエル攻撃継続で=W

ビジネス

米貿易交渉担当者、EUに関税削減迫る 譲歩なければ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:関税の歴史学
特集:関税の歴史学
2025年5月27日号(5/20発売)

アメリカ史が語る「関税と恐慌」の連鎖反応。歴史の教訓にトランプと世界が学ぶとき

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 2
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界の生産量の70%以上を占める国はどこ?
  • 3
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 4
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 5
    子育て世帯の年収平均値は、地域によってここまで違う
  • 6
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 7
    空と海から「挟み撃ち」の瞬間...ウクライナが黒海の…
  • 8
    米国債デフォルトに怯えるトランプ......日本は交渉…
  • 9
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 10
    「誰もが虜になる」爽快体験...次世代エアモビリティ…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドローン母船」の残念な欠点
  • 4
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 5
    ワニの囲いに侵入した男性...「猛攻」を受け「絶叫」…
  • 6
    コストコが「あの商品」に販売制限...消費者が殺到し…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「太陽光発電」を導入している国…
  • 8
    「空腹」こそが「未来の医療」になる時代へ...「ファ…
  • 9
    中ロが触手を伸ばす米領アリューシャン列島で「次の…
  • 10
    人間に近い汎用人工知能(AGI)で中国は米国を既に抜…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
  • 5
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 8
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 9
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 10
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中