最新記事

ユニセックス

あり?なし? 学校のユニセックストイレ、英国で議論

2017年10月6日(金)17時00分
松丸さとみ

image: Twitter/Bishop of Llandaff

<英国では、ユニセックストイレを導入する学校が増えているが、今回公表されたおしゃれなトイレが議論を巻き起こしている>

新学期、ウェールズの学校で議論

英国では、ユニセックストイレを導入する学校が相次ぎ、反対する保護者側と議論になることがここのところ増えている。9月にはツイッターで新しい男女共用トイレを公表し、賛否両論のリプライがついた学校があった。

ツイッターで新トイレを公表したのは、ウェールズの首都カーディフにあるザ・ビショップ・オブ・ランダフ・ウェールズ聖公会ハイスクール(就学年齢11〜18歳)だ。9月に始まる新学期を機に、ユニセックストイレを導入した。そこで同校は始業日に当たる9月4日に、ツイッターで「当校のブロックAにできた、新しい『オープンプラン』ユニセックストイレへようこそ」と写真付きで投稿した。このツイートによると、既存の男女別トイレはそのままで、ユニセックストイレが新たに加わったことになる。

紫の扉がついた個室がコの字に並び、おしゃれなシルバーの円形シンクが真ん中に位置している。

matumaru1006a.jpg

「ユニセックストイレでうんちする勇気がある子はいない」

しかしこのツイートの返信部分には、異論を唱えるツイートが続々と続く。「教科書や設備、教師が不足しているのに、これに何ポンドもかけるの。なぜ、なぜ、なぜ???」という意見や、「問題を解決するというより、もっと多くの問題を新たに生むだけかも」や、「シャイな子には合わないんじゃない?」、そして「生理が始まったばかりの女子は、男子とトイレを共用するの、ありがたいと思うはずだわ(んなわけない)。女性はプライバシーが必要なんじゃ?」、「汚物入れがない。これは男子用トイレだわ」、「女子への性的暴力が増える」、「ユニセックストイレでうんちする勇気がある子供は1人もいないよ。金の無駄」という反対意見があった。

逆に賛成意見としては、「LGBT(性的少数者)の子たちも使いやすくなるように、全ての学校がこれを見習うべき」や「なんで全部男女共用にしないの」、「35年前のトイレと違うなぁ。家にあるのよりいいや」、「素敵な設備! うちの娘たち、かっこいい新しいこのトイレか別の女子トイレを使うか、選べるわ!」、「ベリ校長と職員は、いい仕事をしているね!」などがあった。

このような反響を受けてベリ校長は、男女の問題を提起するというより、単に実用性の問題だった、と男女共用トイレにした理由についてメトロ紙に語った。すでに建設されている新しい校舎は性差別のないデザインであり、トイレも同様に性差別のないものにしたのだという。

1300人ほどいる生徒たちには、集会で男ユニセックストイレについて説明をした。しかしベリ校長によると、男子はトイレの左側にある個室、女子はトイレの右側の個室を自然と使うようになっているという(男女別のトイレの配置がそうなっているとのこと)。空いていればどこを使っても良いという学校側の当初の思惑とは異なってしまったようだが、もし子供たちがこのような使い方をするなら仕方ない、と校長はメトロ紙に話している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

イタリアは今年の成長率0.7%、工業は急激落ち込み

ワールド

NZ製造業PMI、11月は45.5に悪化 4カ月ぶ

ワールド

タイ、25年に最低法人税導入計画 多国籍企業対象=

ビジネス

英シェル、投資家向け説明会を来年3月に前倒し開催
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:韓国 戒厳令の夜
特集:韓国 戒厳令の夜
2024年12月17日号(12/10発売)

世界を驚かせた「暮令朝改」クーデター。尹錫悦大統領は何を間違えたのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式多連装ロケットシステム「BM-21グラート」をHIMARSで撃破の瞬間
  • 2
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 3
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 4
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 5
    統合失調症の姉と、姉を自宅に閉じ込めた両親の20年…
  • 6
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
  • 7
    プロ投資家の目で見ると...物流の2024年問題の裏で成…
  • 8
    日本から学ばず、デフレ・経済停滞から抜け出せなそ…
  • 9
    「どんなゲームよりも熾烈」...ロシアの火炎放射器「…
  • 10
    ノーベル文学賞受賞ハン・ガン「死者が生きている人を…
  • 1
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼンス維持はもはや困難か?
  • 2
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達した江戸の吉原・京の島原と並ぶ歓楽街はどこにあった?
  • 3
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    2年半の捕虜生活を終えたウクライナ兵を待っていた、…
  • 5
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 6
    男性ホルモンにいいのはやはり脂の乗った肉?...和田…
  • 7
    「男性ホルモンが高いと性欲が強い」説は誤り? 最新…
  • 8
    人が滞在するのは3時間が限界...危険すぎる「放射能…
  • 9
    朝晩にロシア国歌を斉唱、残りの時間は「拷問」だっ…
  • 10
    「糖尿病の人はアルツハイマー病になりやすい」は嘘…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 10
    「炭水化物の制限」は健康に問題ないですか?...和田…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中