最新記事

日本政治

安倍改憲シナリオ、支持率下落で自民内に異論 政権維持に解散も

2017年7月31日(月)16時14分

安倍首相は焦点である9条について、戦争放棄を明記した1項、戦力不保持と交戦権の否定を規定した2項を残して、自衛隊を認める3項の新設を提案している。

ただ、自民党の船田元・憲法改正推進本部本部長代行は「党内での一番の相違点は、9条2項を残すか、なくすかという点。 自衛隊は国際的にみて戦力だと言われているし、それにきちんと答えて軍隊として位置付け、自国を守ることを完璧にしたい(だから2項は廃止する)という人が、自民党内にはかなりいる」と述べ、党内調整に時間がかかるとの見方を強くにじませた。

さらに連立与党・公明党のサポートが得られるのか不明な中で、国会での憲法改正発議の手続きが前に進まない可能性が高まる。

同党の山口那津男代表は、今月14日のロイターとのインタビューで「今の憲法を変えてもらいたいと強く望んでいるかというと、今そういう国民の声があるわけではない」と明言。改憲に積極的な安倍首相との「温度差」がかなり鮮明になっている。

憲法改正には、衆参両院でそれぞれ総議員の3分の2以上の賛成を得て発議することが必要。公明党が慎重姿勢を崩さない場合、改憲の発議のハードルがかなり上がることになる。

ただ、安倍首相に近い自民党執行部の中には、秋の臨時国会に自民党の改正案を出すという予定に変わりはないと「既定方針堅持」を強調する声もある。

総裁3選厳しく、来年通常国会に提出必須

支持率低下は、安倍首相の党総裁3選シナリオの実現にも大きな影を投げかけている。

野田氏は、安倍首相の総裁3選シナリオについて「そういう話だった」と述べた。あえて過去形としたことに触れ「可能性があるというだけ。そうなるかはわからない。今は非常に難しくなったという見方が増えている」と、党内情勢の変化に言及した。

また、内閣支持率の低下は、憲法改正の最大のハードルである国民投票における過半数の賛成票確保に大きな障害となりかねない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

三井住友FG、インド大手銀行に2400億円出資 約

ビジネス

米国は最大雇用に近い、経済と労働市場底堅い=クーグ

ビジネス

米関税がインフレと景気減速招く可能性、難しい決断=

ビジネス

中国製品への80%関税は「正しい」、市場開放すべき
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 5
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 6
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 7
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 10
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中