最新記事

米メディア

トランプがCNNを殴るプロレス動画の波紋

2017年7月3日(月)18時50分
トム・ポーター

大統領選中から激しいメディア攻撃をしてきたトランプだが Mike Stone-REUTERS

<アメリカの大統領が私怨からここまでやるのか、と呆れていたら、テロ担当の大統領補佐官がトランプにはやり返す権利があると堂々主張。言論統制の始まりか?>

ドナルド・トランプ米大統領が日曜夜、米CNNのロゴを顔に貼ったレスラーをボディスラムする動画を投稿したことが、自分に対して批判的なジャーナリストへの脅しだと反発を招いていることについて、トランプを擁護した国家安全保障・対テロ担当の大統領補佐官トム・ボサートの発言が波紋を広げている。

米ABCの番組「ディス・ウィーク」に出演したボサートは、司会者から動画はCNNに対する暴力的な脅しではないかと尋ねられると、こう答えた「とんでもない。誰もあれを脅しとは受け止めないだろう。受け止めないでほしい。(トランプは)ケーブルテレビで散々叩かれており、彼はそれに反論する権利がある」

トランプがツイッターに投稿した動画は、2007年に米プロレス団体WWE(ワールド・レスリング・エンターテインメント)のイベントに出場し、WWEのビンス・マクマホン会長と対戦したときの映像を加工したものだ。トランプに殴打されるマクマホンの頭部に、CNNのロゴが貼り付けてある。

(このツイートはCNNへの脅しにはあたらない、とテロ担当大統領補佐官は言う)


墓穴を掘ったCNN

トランプは最近、CNNへの批判をエスカレートさせている。きっかけは先週、CNNがトランプ政権発足の数日前にトランプの側近とロシアの投資ファンド幹部が会合したとする疑惑を報じた記事を撤回し、担当記者ら3人が退職したことだ。そら見たことか、CNNはやはりフェイクニュース機関だと、トランプに弱みを突かれている。

動画に対しCNNは声明を発表し、トランプは「記者への暴力を奨励」しており、「大統領の品位を貶める幼稚な振る舞いに時間を割いている」と批判した。

トランプが記者に対する暴力を煽っていると批判されるのは、これが初めてではない。米大統領選中のトランプの集会では、メディアの偏向報道にトランプの批判が集中することも珍しくなく、多くの報道関係者が支持者から罵声を浴びせられた。

ボサートはABCの番組で、トランプがソーシャルメディアを使用することの正当性を強調した。「数百万人の視聴者に番組を届けるケーブルニュースがすべて大統領にフェアなわけではない。大統領がアメリカ国民に直接語りかけられるように、ツイッターやソーシャルメディアなどのプラットフォームを発展させているのは素晴らしいことだ」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

台湾閣僚、「中国は武力行使を準備」 陥落すればアジ

ワールド

米控訴裁、中南米4カ国からの移民の保護取り消しを支

ワールド

アングル:米保守派カーク氏殺害の疑い ユタ州在住の

ワールド

米トランプ政権、子ども死亡25例を「新型コロナワク
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 8
    村上春樹は「どの作品」から読むのが正解? 最初の1…
  • 9
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 10
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中