最新記事

アメリカ経済

なぜか再びアメリカで銀行がつぶれ始めた

2017年5月29日(月)10時55分
ダニエル・グロス(ビジネスジャーナリスト)

そうして信用供与がやや行き過ぎると、必然的にデフォルト(債務不履行)が発生する。別に景気が悪くなったり、金利政策が変わらなくてもそうなのだ。

しかし今は、まさに利上げ局面にある。お金を借りるにも返すにも、そのコストが増えようとしている。FRBは15年12月、政策金利をゼロから0.25%に引き上げた。実に9年半ぶりの引き上げだった。その後も同じ幅の利上げが2回行われた。小幅とはいえ、上昇に転じたことの意味は大きい。

何しろ人々は10年近くの間、どうせ利上げはないと決め込んで資金計画を立ててきた。利下げ局面なら借り換えも簡単だが、今はそうはいかない。返済に行き詰まる人たちがいる。

【参考記事】米自動車大手2社の駄目っぷりでテスラの株が急上昇

昨年の第3四半期に06年以来最低の水準まで下がった住宅ローンの返済遅延率が、第4四半期には4.8%へと上昇した。カードローンの返済遅延率もまだ低いとはいえ、昨年は3四半期連続で上がった。自動車ローンも遅延急増中で、これらの数字は増え続けるとみられる。

決して金融危機や景気後退の恐れがあるわけではない。ただ、注意を喚起したい状況ではある。

イエレンFRB議長が利上げ継続の方針を掲げる一方、苦しんでいる個人もいれば、困窮している企業もある。金融機関は貸し倒れに直面すれば審査を厳しくするだろうが、それでも銀行破綻は増えるだろう。

© 2017, Slate

[2017年5月30日号掲載]

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ウクライナ、北部スムイ州でロシアの進軍阻止 総司令

ワールド

フィリピン、25年の成長率目標を5.5─6.5%へ

ワールド

世銀とIAEA、途上国の原発開発で協力 運転期間延

ワールド

中国軍、戦闘即応態勢強化へ 台湾総統の「1つの国」
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本のCEO
特集:世界が尊敬する日本のCEO
2025年7月 1日号(6/24発売)

不屈のIT投資家、観光ニッポンの牽引役、アパレルの覇者......その哲学と発想と行動力で輝く日本の経営者たち

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係・仕事で後悔しないために
  • 3
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々と撤退へ
  • 4
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 5
    人口世界一のインドに迫る少子高齢化の波、学校閉鎖…
  • 6
    【クイズ】北大で国内初確認か...世界で最も危険な植…
  • 7
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 8
    「子どもが花嫁にされそうに...」ディズニーランド・…
  • 9
    都議選千代田区選挙区を制した「ユーチューバー」佐…
  • 10
    韓国が「養子輸出大国だった」という不都合すぎる事…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の「緊迫映像」
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 7
    飛行機内で「最悪の行為」をしている女性客...「あり…
  • 8
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 9
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 10
    「アメリカにディズニー旅行」は夢のまた夢?...ディ…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中