最新記事

インタビュー

Readyforのプロジェクト実行者の6割は本職をほかに持つ人

2017年4月28日(金)21時31分
WORKSIGHT

ws_meraharuka170428-2.jpg

ベストチームは世界中から見つけるもの。コラボレーションでリソースを獲得する


組織を超えたつながりの重要性は自分でも感じていることなんです。もともと1人で起業したので、何かやりたいと思ったらリソースを外部から得るしかありませんでした。そういう経験から、今でも社内で新しいアイデアが出ると、私は「これを実現するにはどういう能力のある人が必要か」「そういう人たちとつながるにはどういう形が面白いか」という具合に、まず社外に意識が向きます。

ベストチームは世界中から見つけるもの。適切なメンバーが日本にいなければ海外に目を向ければいいんです。いまのReadyforをベストにするためのチーム集めと、新しいことをやるためのチーム集めは性質が違います。なので、新しいことに挑戦するときはコラボレーションの感覚を大事にしています。

挑戦の機会を得ることで会社も成長していく

私の場合、各地で講演することも多くて、そういう場も含めて仕事で出会う人の数は週400人くらいに上ります。出会えたことも何かの縁だろうし、それだけの数の人の中には思いを共有できて、しかも今の自分たちにないものを持っている人もいるものです。見つけたら誘わない手はないでしょう。

私はそういうネットワークの構築が得意で、具体的に協働の仕組みをまとめるのはそれが得意な社内のメンバーに任せます。1人で何もかも切り盛りする経営者もいるけど、私の場合は適材適所と割り切って、社内でもコラボレーションという感じです。

自分もあちこちから相談を受けたりして忙しいですけど、誘われるうちが華かなと(笑)。ですから、何か話をいただいたら自分たちでできることを真剣に考えます。それはまた、どうしたらこの会社の価値がもっと高まって自分たちが目指す姿に近づけていけるかを模索する機会にもなります。いろいろなコラボレーションで挑戦の機会を得ることが、結果的に会社の成長にもつながっていくんでしょうね。

フランクな交流を通して社内の信頼関係を築く

有機的に人とつながって何かを成し遂げようとする場合、やっぱり相手と密にコミュニケーションすることになるので、社外にいる時間がどうしても増えます。そうすると自分をコントロールできる能力が求められます。それは誰でもできることではないので、今後そのあたりの制度設計を詰めていく予定です。

ただ、なるべく制度で縛るようなことは避けたいですね。オフィスの雰囲気もできるだけフラットで、何でも相談しあえるような環境を心掛けています。今いるオフィスには2016年に移転してきたんですけど、私のデスクは他の社員と同じ場所にあります。

最初は窓際に自分のスペースを小部屋風に作ったんですけど、いかにも大上段に構えている感じで、みんなと距離ができてしまいそうなのでやめました。社長室もなく、パーテーションで囲っているわけでもなく、むしろ出入り口に近い端っこなので末席に近い(笑)。でも、みんな話しかけやすくなったようだし、これが私のスタイルに合っていますね。

うちは月に3回くらいイベントを実施していますし、社内で交流する時間が多いです。仕事仲間で仕事の話をするのも大事だけど、一方でフランクな交流を通して信頼関係を作ることも大事。プライベートなことを話してその人の背景を知れば、それもまた何かのアイデアやアクションのきっかけになり得ます。

Readyforとして、あらゆる人の思いをかなえていくというミッションにこれからもしっかり取り組んでいきたいし、その輪を広げることを丁寧にやっていきたい。そのためにも社内のつながりを深めていくことの意味は大きいと考えています。

WEB限定コンテンツ
(2016.11.4 文京区のREADYFORオフィスにて取材)

text: Yoshie Kaneko
photo: Kazuhiro Shiraishi

* 2016年11月現在。

** 「がん患者が自分の力を取り戻すための場マギーズセンターを東京に」
英国発のがん患者のための相談支援センター「マギーズセンター」を日本に設立するためのプロジェクト。Readyforなどで調達した資金を元に2016年10月にオープンした。2020年秋までの期間限定施設。
https://readyfor.jp/projects/maggiestokyo

ws_meraharuka170428-site2.jpg***「あのひと検索 スパイシー」は、人物の名前を元にインターネットから情報を取得し、関連する人物と紐づけて表示するウェブサイト。運営はオーマ株式会社。2008年に試験運用開始。
http://spysee.jp/


ws_meraharuka170427-site1.jpgReadyfor は2011年3月、米良はるか氏が東京大学発ベンチャー企業・オーマ株式会社にて日本初のクラウドファンディングとしてリリース。事業拡大を受けて2014年に米良氏がREADYFOR株式会社を創業、オーマより事業譲受して現在に至っている。
https://readyfor.jp/

ws_meraharuka170427-portrait.jpg米良はるか(めら・はるか)
READYFOR株式会社 代表取締役。1987年東京生まれ。2010年、慶應義塾大学経済学部卒業。2012年、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科修了。大学院在学中にスタンフォード大学へ留学し、帰国後の2011年3月、クラウドファンディングサービス「Readyfor」を立ち上げる。2014年7月に法人化し、代表取締役に就任。World Economic Forumグローバルシェイパーズ2011に選出され、ダボス会議に日本人史上最年少で参加。内閣府 国・行政のあり方懇談会 委員など、国内外の数多くの会議に参加している。‎‎

※当記事はWORKSIGHTの提供記事です
wslogo200.jpg


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日米2回目の関税交渉、赤沢氏「突っ込んだ議論」 次

ワールド

原油先物が上昇、米中貿易戦争の緩和期待で

ビジネス

午前の日経平均は続伸、一時500円高 米株高や円安

ビジネス

丸紅、26年3月期は1.4%の増益予想 非資源がけ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 6
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 7
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 8
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 9
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 10
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中