最新記事

北朝鮮

北朝鮮ミサイル攻撃を警戒、日本で核シェルターの需要が急増

2017年4月25日(火)16時00分
グレッグ・プライス

潜水艦から発射する中距離弾道ミサイル「北極星1号」。4月15日、故金日成国家主席の生誕105周年軍事パレードで Damir Sagolj-REUTERS

<半島情勢の緊迫化に伴い、核兵器や化学兵器に対して身を守るシェルターや空気清浄機への注文が増えている>

北朝鮮のミサイル発射や核実験の可能性が高まるなか、アジアでは不安と緊張が増している。ロイターが4月24日に伝えたところによると、日本では数週間ほど前から、最悪のケースに備えようと、核シェルターや放射性物質を除去できる空気清浄機の売上や注文が急増している。

神戸に本社を置く織部精機製作所は、4月に入ってすでに8件の核シェルター施工契約を結んでいる。通常は年間6件ほどだという。同社取締役の織部信子はロイターに対し、放射性物質と毒ガスを排除できるスイス製の空気清浄機50台が売り切れたため、需要に応じるべく仕入れようとしているところだと述べた。

「核シェルターの施工には費用と時間がかかる。しかし、近ごろは情勢が緊迫しているため、今すぐ設置してほしいという声ばかりだ」と織部は語る。「すぐに来て見積もりを出してほしいと依頼がある」

安倍首相の言葉がきっかけに

核シェルターや空気清浄機を設置したり、設備を改善したりするのはけっして安くない。6人まで収容できるシェルター向けの空気清浄機1台は5630ドルで、13人までの空気清浄機は1万5440ドルだ。より多数が収容できるシェルターの価格は22万7200ドルで、施工には4カ月かかる。

シェルターや空気清浄機の需要が急増したのは、今月に入って安倍晋三首相が、北朝鮮は神経ガスのサリンを搭載したミサイルの発射技術を持つ可能性があるとの見解を示しためだ。

首相は4月13日に開かれた参議院外交防衛委員会で北朝鮮に関し、「サリンを弾頭につけて着弾させる能力をすでに保有している可能性がある」と述べた。化学兵器を北朝鮮が保有していることを示す具体的な証拠は挙げなかった。

金正恩政権は3月6日、日本海に向けて弾道ミサイル4発を発射した。うち3発は1000キロほど飛行して海に落下した。報道によると、それらの3発は、秋田県男鹿半島沖合の300~350キロ付近に落下したとみられる。4月1日にも1発発射したが失敗した。

(翻訳:ガリレオ)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

NYタイムズ、パープレキシティAIを提訴 無断複製

ワールド

プーチン氏、インドに燃料安定供給を確約 モディ首相

ビジネス

ネットフリックス、ワーナー資産買収で合意 720億

ビジネス

米ミシガン大消費者信頼感、12月速報値は改善 物価
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い国」はどこ?
  • 2
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 3
    「ボタン閉めろ...」元モデルの「密着レギンス×前開きコーデ」にネット騒然
  • 4
    左手にゴルフクラブを握ったまま、茂みに向かって...…
  • 5
    主食は「放射能」...チェルノブイリ原発事故現場の立…
  • 6
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 7
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 8
    『羅生門』『七人の侍』『用心棒』――黒澤明はどれだ…
  • 9
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 10
    高市首相「台湾有事」発言の重大さを分かってほしい
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%しか生き残れなかった
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 5
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    【クイズ】17年連続でトップ...世界で1番「平和な国…
  • 8
    日本酒の蔵元として初の快挙...スコッチの改革に寄与…
  • 9
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 10
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中