最新記事

米ロ関係

トランプ、シリア問題めぐり「米ロ関係、史上最悪の冷え込み」

2017年4月13日(木)09時52分

 4月12日、米国のトランプ大統領は、ロシアとの関係がうまくいっていないとの憂慮を示し、両国関係は「史上最悪」かもしれないとの懸念を示した(2017年 ロイター/Jonathan Ernst)

米国のトランプ大統領は、ロシアとの関係がうまくいっていないとの憂慮を示し、両国関係は「史上最悪」かもしれないとの懸念を示した。

トランプ大統領は「現時点で、ロシアとはうまく付き合うことがまったくできていない。ロシアとの関係は、もしかしたら史上最悪に冷え込んでいるかもしれない。これは、長い時間をかけてこうなったものだ。ただ、これからどうなるか見極めるつもりだ」と述べた。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)とのインタビューで大統領は、「紛争の平和的解決」の一環としてアサド大統領に退任を求める考えはないと表明した。

WSJはトランプ氏の発言として、アサド大統領が再度化学兵器を使用した場合は米国が再度の軍事行動に踏み切る可能性があると報じた。ただトランプ氏は、紛争に深くかかわるつもりはないとも示唆したという。

一方、ロシアのプーチン大統領は12日、トランプ政権下でロシアと米国との間の信頼関係は悪化したとの考えを示した。米国のティラーソン国務長官がモスクワを訪問するなか、異例の厳しい態度の表明となる。

ティラーソン長官はこの日、ロシアのラブロフ外相と約3時間にわたり会談。その後プーチン大統領との会談に臨んだ。米国のシリア攻撃をめぐり米ロの関係が冷え込むなか、ロシア大統領府は当初、プーチン氏のティラーソン長官との会談について確認を拒否していた。

プーチン氏はこうしたなか、ロシアのテレビで放映されたインタビューで、「実務レベル、特に軍事面において、信頼の水準は改善せず、逆に悪化したと言える」と指摘。シリアのアサド大統領に対する支持をあらためて表明したうえで、アサド政権が化学兵器を使用したとの見方を再度否定した。

ラブロフ外相はティラーソン氏との会談の冒頭、記者団を前に、米国によるシリア攻撃は違法とし、米国の行動を非難。「2国間、および多国間関係をめぐり米政府がこれまでに発した非常にあいまいで、時に矛盾する考えを念頭に置き、われわれは多くの疑問を持っているとの事実を隠すつもりはない」と述べ、異例に冷淡な発言でティラーソン氏を迎えた。

昨年、プーチン大統領はトランプ大統領を強い人物だとして評価し、国営テレビでも大げさに賞賛する報道を行っていたことから考えると、米政権に対するロシアの対立姿勢は当時から一転したことになる。



[モスクワ 12日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ氏、シリア暫定大統領と会談 イスラエルとの

ワールド

米特使、16日にトルコ入り ウクライナ停戦協議で

ビジネス

物価目標に向け進展、関税で見通しに懸念=ジェファー

ワールド

カタール、ボーイング航空機購入契約に署名 2000
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:2029年 火星の旅
特集:2029年 火星の旅
2025年5月20日号(5/13発売)

トランプが「2029年の火星に到着」を宣言。アメリカが「赤い惑星」に自給自足型の都市を築く日

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新研究が示す運動との相乗効果
  • 2
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 3
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因は農薬と地下水か?【最新研究】
  • 4
    トランプ「薬価引き下げ」大統領令でも、なぜか製薬…
  • 5
    iPhone泥棒から届いた「Apple風SMS」...見抜いた被害…
  • 6
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 7
    終始カメラを避ける「謎ムーブ」...24歳年下恋人とメ…
  • 8
    サメによる「攻撃」増加の原因は「インフルエンサー…
  • 9
    あなたの下駄箱にも? 「高額転売」されている「一見…
  • 10
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 3
    加齢による「筋肉量の減少」をどう防ぐのか?...最新研究が示す運動との相乗効果
  • 4
    ゴルフ場の近隣住民に「パーキンソン病」多発...原因…
  • 5
    カヤック中の女性がワニに襲われ死亡...現場動画に映…
  • 6
    母「iPhone買ったの!」→娘が見た「違和感の正体」に…
  • 7
    シャーロット王女の「親指グッ」が話題に...弟ルイ王…
  • 8
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 9
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 10
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 6
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 10
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中