トランプの父親失格を暴く元妻の回想録
昨年の大統領選では、集会中に泣きだした赤ちゃんを母親ともども会場から追い出した。赤ん坊は大好きだ、泣いてもいいぞと言った直後のことだった。そのときトランプは「演説中に赤ん坊に泣かれても平気だという話を、あの母親は真に受けたらしい」とうそぶいた。
これだけ子育てや母親の役割を見下しておきながら、事あるごとに成人した子供たちを自慢し、自分の手柄だとアピールするのは筋が通らない。
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イバンカ以下3人にどんな取り柄があるのか、筆者は知らない。高級な服を着て、いつも父親の後ろに笑顔で控えていて、父親に絶対的な忠誠を示しているだけだ。たとえ彼らが思いやりと知性のかがみだったとしても、それは父親ではなく母親の努力のたまものだろう。
イバナは離婚に際して守秘義務契約を結んでいるから、今度の回想録に赤裸々な暴露は期待できない。しかしイバナは以前から、元妻にしかできないやり方で彼をコケにしてきた。
昨年4月、ニューヨーク・ポスト紙のインタビューではトランプの出馬にエールを送りながらも体形を笑い、ペニスのサイズに触れ、彼がスキー場でかんしゃくを起こしたときの情けないエピソードまで披露した。
1回のインタビューでここまで元夫を笑い飛ばせるイバナが本を書くのだ。大統領もうかうかしてはいられない。
[2017年4月11日号掲載]
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