最新記事

アメリカ政治

トランプの娘婿でイバンカの夫、クシュナーの素性

2017年3月28日(火)16時30分
ジャニス・ウィリアムズ

トランプ政権で娘のイバンカとともに重用されているクシュナー(左) Kevin Lamarque-REUTERS

<トランプの娘イバンカの夫は、大統領の上級顧問を務めるうえ、新設のアメリカン・イノベーション・オフィスの責任者も任されたやり手。一方、ロシア疑惑に関わってFBIに証言を求められるなど、究極のインサイダーならではのきな臭さもある>

ドナルド・トランプ大統領の上級顧問を務める娘婿のジャレッド・クシュナーが、上院情報委員会で証言することを承諾した。トランプが大統領選に勝利した後の昨年12月に、クシュナーがセルゲイ・キスリャク駐米ロシア大使との会談に参加した件についてだ。

【参考記事】トランプの娘婿クシュナーが大統領上級顧問になる悪夢

FBI(米連邦捜査局)によればクシュナーは、トランプ政権とロシアの関係をめぐって同局が行っている捜査の焦点ではないようだ。しかし、昨年12月にクシュナーが参加したキスリャクとの会談については疑問が残っている。この会談には、トランプ政権で国家安全保障担当補佐官に任命されたマイケル・フリンも出席していた。フリンは公職に就く前に行われたキスリャクとの電話で、対露追加制裁の可能性について話していたことが問題になり辞任した。CNNの報道によると、クシュナーは、自発的に証言を申し出たという。

なお、ジェフ・セッションズ司法長官は、現在行われている調査から身を引いている。選挙戦のさなかにキスリャクと接触していた、という事実が明るみに出たからだ。

ただしホワイトハウスは、クシュナーの地位に関してさほど心配してはいないようだ。トランプは3月27日、クシュナーに対して、新しく設立された「アメリカン・イノベーション局」の責任者、および官僚機構の再考・改革という任務を課した。クシュナーは、中東和平交渉に関するトランプ政権の取り組みも率いている。

知っておくべき5つの事実

トランプが絶大な信頼を寄せるこの大統領上級顧問について、上院情報委員会での証言が行われる前に知っておくべき5つの事実を以下にまとめておこう。

1. クシュナーの父はかつて、クシュナー・カンパニーズのCEOを務めていた。クシュナーの妻イバンカ・トランプと同じように、クシュナーも、不動産業界の大物を父に持って育ったのだ。クシュナーがニューヨーク大学のビジネス・スクール・ロー・スクールでMBA/法務博士号(J.D.)の勉強をしていたとき、父チャールズ・クシュナーは脱税などの容疑で逮捕され、有罪判決を受けた。

【参考記事】トランプを大統領にした男 イバンカの夫クシュナーの素顔

クシュナーは弁護士になるという夢を捨て、2008年に事業を引き継いだ。当時、連邦検事を務めていたクリス・クリスティは、チャールズ・クシュナーの起訴に重要な役割を果たした人物だ。のちにニュージャージー州知事となり、トランプを支持してきたクリスティーが、ホワイトハウスの要職に就いていないのには、こうした背景があるのかもしれない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、英軍施設への反撃警告 ウクライナ支援巡る英

ワールド

中国主席に「均衡の取れた貿易」要求、仏大統領と欧州

ワールド

独、駐ロ大使を一時帰国 ロシアによるサイバー攻撃疑

ワールド

ブラジル南部豪雨、80人超死亡・100人超不明 避
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    外国人労働者がいないと経済が回らないのだが...... 今も厳しい差別、雇用許可制20年目の韓国

  • 2

    翼が生えた「天使」のような形に、トゲだらけの体表...奇妙な姿の超希少カスザメを発見、100年ぶり研究再開

  • 3

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 4

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 5

    「真の脅威」は中国の大きすぎる「その野心」

  • 6

    ウクライナがモスクワの空港で「放火」工作を実行す…

  • 7

    メーガン妃を熱心に売り込むヘンリー王子の「マネー…

  • 8

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 9

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 10

    単独取材:岸田首相、本誌に語ったGDP「4位転落」日…

  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 5

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 6

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 7

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 10

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 7

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

  • 10

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中