最新記事

農業

IoTで農作物ロスの削減を目指せ

2017年2月7日(火)16時45分
ケイト・ローレンス ReadWrite[日本版]編集部

ReadWrite[日本版]編集部

<肥沃な大地と降り注ぐ太陽、そして天からの恵みの雨......。こうした人の手ではコントロールできない要素を組み合わせて行われる代表的なものが農業だ。IT化からもっとも遠い世界だと思われていた農業だが、近年ここにもIoTの導入が進みつつある>


農学者や昆虫学者を抱える技術系スタートアップ企業に出会うことはそれほど多くはないだろう。

IoTが素晴らしいことの1つに、技術を使ってこれまで何百年も業界が苦しんできた問題を解決できることが挙げられる。たとえば、農業における「食糧廃棄物」の問題だ。

国連食糧農業機関(FAO)のデータによると、農場から店舗、そして食卓に上るまでのプロセスで、年間およそ1兆ドルの作物が収穫後に無駄になっているという。ヨーロッパなど技術的に進んでいる地域でさえ、こういった無駄は10%以上にのぼり、アフリカや工業化が進んでいるアジアなどの途上国でもこの割合は高くなる。このような廃棄物は、原材料として保存している時や、加工時、輸送時などいたるでも起こる。

この課題にIoT技術で立ち向かうのが、Centaur Analytics社だ。農作物の保存状態をリアルタイムで監視し、適切に管理するIoT技術をトータルで提供する会社である。かれらは貯蔵品の品質と安全性を保つためのIoTソリューションの開発と営業をおこなっている。その目標は収穫後のロスを減らし、農場から食卓へ上がるまでの無駄をなくすことだ。

Centaur Analyticsの共同設立社・最高経営責任者(CEO)のソティリス・バンタス博士と話をする機会があった。彼は自分たちの役割について次のように説明する。

「世界中で農作物の生産量の約1/3が無駄になっており、アフリカなどの途上国では害虫などでさらに多くの被害を出しています。途上国では収穫された農作物の17%が捨てられるか、家畜の餌やバイオ燃料になっています。我々は農学者や昆虫学者など各分野の専門家とともに、監視センサーやソフトウェア分析などによるソリューションを考えています」


農業でのハイテク技術の一例:自動運転トラクター 

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

次期FRB議長の条件は即座の利下げ支持=トランプ大

ビジネス

食品価格上昇や円安、インフレ期待への影響を注視=日

ビジネス

グーグル、EUが独禁法調査へ AI学習のコンテンツ

ワールド

トランプ氏支持率41%に上昇、共和党員が生活費対応
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 7
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 8
    中国の著名エコノミストが警告、過度の景気刺激が「…
  • 9
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 10
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 8
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 9
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 10
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中