最新記事

差別

ブルキニを禁じたフランスのパリがヌーディスト解禁へ

2016年9月28日(水)17時58分
シボーン・オグレイディ

Mark Blinch-REUTERS

<ビーチでイスラム教徒の水着ブルキニを着るのは禁止だけど、何も着ないのはオーケーってどういうこと?>(写真はカナダのヌーディスト村)

 フランスといえばこの夏、公共のビーチでの「ブルキニ」着用を禁止する自治体が相次いで、国際社会から批判にさらされたばかり。ブルキニとは、イスラム教徒の女性が着用する全身を覆う水着だ。

【参考記事】フランス警官、イスラム女性にブルキニを「脱げ」

 ところが首都パリでは今、公共のヌードを解禁しようとしている。

 早ければ来年の夏までに、ヌーディストはパリの指定されたエリアで自由に過ごせることになりそうだ。市議会は26日、ヌーディストエリアの設置を賛成多数で承認した。

 ダビッド・ベリアール議員は、フランスには200万人に上るヌーディストが存在し、観光客が押し寄せる夏の数か月間はその数が倍に増えると言う。

ヌーディスト観光客へのサービス

「ヌーディストにとってパリは世界で最も人気がある旅先なのに、裸になれる公共の場所がない。彼らが自由に服を脱いでバカンスを楽しめるエリアを作りたい」

 フランスにおけるイスラム教徒の人口は約500万人。国内のヌーディスト人口はその半分だ。

 ブリュノ・ジュリアール副市長は、アンヌ・イダルゴ市長とともに計画を支持した。設置の条件は、市の中心部のすぐ外で、「公共の秩序を脅かさないよう、湖の近くなどで当局が取り締まれる場所」になる見通し。

【参考記事】イスラム女性に襲われISISがブルカを禁止する皮肉

 ジュリアールが言葉を慎重に選んだのは皮肉だ。テロ組織ISIS(自称「イスラム国」、別名ISIL)が犯行声明を出したニースのトラック突入テロ以降、ビーチや湖、プールなどでブルキニを着用すれば、公共の安全に深刻な脅威になるという議論になったばかり。ブルキニはダメでヌーディストは良いというのは何とも気まずい。

 緑の党に所属するベリアールは、これはブルキニ禁止論とはまったく別の問題だと言う。

「人々は自分の好きなように服を着られるし、全然着ないという選択肢もある」

 好きな服を着られない人もいるようだが。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

NATO事務総長の戦争準備発言は「無責任」、ロシア

ワールド

米H─1Bビザの10万ドル申請料、差し止めへ20州

ビジネス

中国、消費喚起へビジネス・金融システムの連携強化求

ビジネス

大企業・製造業の業況判断DI、3期連続の改善=12
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の展望。本当にトンネルは抜けたのか?
  • 2
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジアの宝石」の終焉
  • 3
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 4
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 5
    極限の筋力をつくる2つの技術とは?...真の力は「前…
  • 6
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 7
    トランプが日中の「喧嘩」に口を挟まないもっともな…
  • 8
    大成功の東京デフリンピックが、日本人をこう変えた
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    世界最大の都市ランキング...1位だった「東京」が3位…
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 3
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の脅威」と明記
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 6
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 9
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」…
  • 10
    首や手足、胴を切断...ツタンカーメンのミイラ調査開…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 6
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 10
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やって…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中