最新記事

セックスロボット

【セックスロボット】数年以内に「初体験の相手」となるリスク、英科学者が警鐘

2016年6月17日(金)16時10分
高森郁哉

Vincent-REUTERS

 英シェフィールド大学で人工知能(AI)とロボット工学を専門とするノエル・シャーキー名誉教授が、数年以内に普及するセックスロボットが青少年の「初体験の相手」になる場合、深刻な悪影響を及ぼすとして警鐘を鳴らした。

10代の人間関係に悪影響を及ぼす

 シャーキー教授は、チェルトナム科学フェスティバルの「Robots: Emotional Companions?」(ロボットは心の友?)と題された討論会に登壇。セックスロボットの分野が適切に規制されない場合、「10代の若者がヒューマノイドを相手に童貞や処女を失うリスクがある」と訴えたと、英テレグラフなどが報じている。

 かつて国連のロボット工学顧問を務めたシャーキー教授によると、韓国と日本の少なくとも14社が、「子供の世話」用のロボットを製造販売。セックスロボットの性能が向上すれば、数年以内に同分野へ参入する可能性が高いという。

 なお、以前に「年内にも発売されるセックスロボット、英研究者が禁止を呼びかけ」という記事で取り上げた米新興企業トゥルーコンパニオンの女性型「Roxxxy」(ロキシー)と男性型「Rocky」(ロッキー)は、現在それぞれ9995ドル(約104万円)で販売されている。今後参入するメーカーが増えれば、当然価格は下がっていくだろう。

 同教授はこう述べている。「私が心配するのは、本質的に中身がコンピューターの相手と、人々が絆を感じたり関係を持ったりすること。もしそれが、性的な初体験の相手だったら? 反対の性に対してどう考えるようになる?」

フェミニズムの立場からも「規制すべき」

 英ジャーナリストのデボラ・オア氏も、ザ・ガーディアンへの寄稿でこの話題を取り上げ、男女平等の観点からセックスロボットは規制されるべきだと論じている。

 シャーキー教授による「ポルノが現実の性的パートナーの期待、特に男性の期待を変えた」との指摘を受けるかたちで、オア氏は「女性たちは近い未来、ポルノ女優のように見えるだけでなく、セックスロボットのように、いつでも献身的に相手を喜ばせるようプレッシャーを感じることになるのだろうか?」と憂慮。女性の外見をして、女性との性行為を再現するようなロボットは、女性を単なる「性の道具」だとする考え方を助長するものだと主張している。

 オア氏は、異性恐怖症による性機能障害の患者など特別なケースについては、医師の同意のうえで利用が認められるべきだとしつつ、一般販売は厳しい規制が必要だと主張。記事の最後で、「あるいは、女性への敬意を表して、この技術は拒否されるべきかもしれない」と締めくくっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米GDP、第1四半期速報値0.3%減 関税で3年ぶ

ワールド

トランプ氏、「好きなだけ」政権にとどまるよう要請 

ワールド

中国との公正な貿易、知的財産権の管理も含まれる=ト

ビジネス

独CPI、4月速報は+2.2% 予想上回るも伸びは
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 2
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・ロマエとは「別の役割」が...専門家が驚きの発見
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 7
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 8
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 9
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中