最新記事

インタビュー

NY著名フレンチシェフが休業、日本に和食を学びに来る!

2016年6月17日(金)16時12分
小暮聡子(ニューヨーク支局)

――ニューヨークで1番好きな日本食レストランはどこですか。

 ブラッシュストロークだ(笑)。

――ブラッシュストローク以外でお願いします!

(少し考え込んで)......ないな。(イースト・ビレッジの寿司店)ジュエル・バコはオーナーが昔私の下で働いていたので、行くとスペシャルなメニューを出してくれるが、私はあまり和食を食べに出かけない。フランス料理も外で食べない。フランス料理が食べたくなったらJFK空港に行って、フランスに飛ぶ。和食が食べたいときは、日本に食べに行く。辻さんたちのせいで、ニューヨークで和食が食べられなくなってしまった(笑)。日本のスタンダードはとても高いから。

――ブーレイが休業する際には、ブラッシュストロークも閉店するのですか。

 いや、ブラッシュストロークは続けるが、レストラン自体は進化させていく。店内を3つのエリアに分けて、1つは懐石、1つはもっとカジュアルに、1つは寿司オンリーという風に。日本では寿司、懐石、天ぷら、蕎麦は別々の店で食べるものだが、アメリカ人はまだその点をよく理解していなくて、全て同じように出てくるものだと思っている。全部を少しずつつまんで、一晩で4つのレストランに行ったかのような体験を求めている。

 色々試したいという人たちを変えるのは難しいと分かったので、カジュアルなエリアでは刺身や寿司、温かいメニューなど何でも試すことができる「欧米人が思うような和食」を提供することにした。一方で、別のエリアではハイレベルの懐石体験、もっと純粋な日本式を追求する。

――休業後にオープンする新「ブーレイ」はどのようなレストランになるのですか。
 
 新しいブーレイのオープンは、2018年初めになる予定だ。とてもユニークで、私の強みが結集した夢のようなレストランになるだろう。

 現ブーレイは約120席あるが、同じトライベッカ地区の別の場所に移転後のブーレイは25~30席だけのとても小規模なレストラン。ビルを買って、私は上の階に住み、1階はキッチン、2階がダイニングルーム、地下はワインセラーとバンケットルーム。土日は休みにして、料理本を作ったり、インターネットの視聴者に向けて調理したり、もっと他のことに挑戦する予定だ。

 新しいブーレイの客席はカウンターテーブルの周りに設けて、カウンター越しにシェフが調理する様子や食材まで見られるようにする。私が使う料理の構成要素を学んでもらい、自宅で自分なりに使ってみてほしい。シンプルな構成要素がどのようにして料理になるのか、簡単で手早いやり方を見せたい。昨年この構想を思い立ったとき、多くの人に料理の仕方を教えられると思ってわくわくした。

 ここでは、日本の懐石料理のように感性の点で最高の体験が出来ることを目指す。懐石料理を食べていると、四季や自然を体感する。料理人ではなく、自然に触れている感覚だ。新ブーレイには触り心地の良い輪島塗のテーブルを置き、魅惑的でロマンチックな空間にする。ミレニアル世代から年配の方まで、色々な人に来てほしい。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

英中銀は8日に0.25%利下げへ、トランプ関税背景

ワールド

米副大統領、パキスタンに過激派対策要請 カシミール

ビジネス

トランプ自動車・部品関税、米で1台当たり1.2万ド

ワールド

ガザの子ども、支援妨害と攻撃で心身破壊 WHO幹部
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 10
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中