最新記事

欧州債務危機

ギリシャ、財政悪化で公的機関からの借入でデフォルト回避

債権団による財政改革審査の遅れから、公的機関からの借り入れ資金で支払い

2016年4月27日(水)10時48分

 4月26日、ギリシャは債権団による財政改革審査が遅れていることを受けて、公的機関からの借り入れ資金を支払いに充てている。写真は同国議会、4月11日撮影。(2016年 ロイター/Alkis Konstantinidis)

ギリシャは債権団による財政改革審査が遅れていることを受けて、公的機関からの借り入れ資金を支払いに充てている。当局者が26日、明らかにした。

同国政府は学校や病院、公益会社などの公的機関に対し、すぐに使わない余剰資金を中銀に預けるよう義務付けた。

議会などを含めた公的機関は今月、中銀に5億ユーロ近くを預け入れたという。

ギリシャは6、7月に、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)への返済を控えており、50億ユーロ超を必要としている。 だが改革審査の遅延により、債権団による融資実施は凍結されたままで、厳しい状況に置かれている。

ある政府関係者は「必要なら年金基金の準備金を活用するなどすれば、5月末か6月初旬までは財政破綻しないだろう」と述べた。

難航する改革審査の争点となっているのが、2018年までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)で国内総生産(GDP)比3.5%の黒字を達成するにはどの程度の緊縮策が必要かという点だ。

前週末のユーロ圏財務相会合では、債権団が事態打開に向け、財政再建目標が未達となった場合にのみ発動させる緊急対応策の策定をギリシャに求めた。

ギリシャ政府は国内法は仮説に基づく出来事に関して法制化を認めていないと主張しており、当局者によると、代替策として目標未達の場合に自動的に歳出を削減する案を提案しているもようだ。公式データを発動の基準にするとしており、債権団が現在、提案を審査している。



[アテネ 26日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

豪総選挙、与党が政権維持の公算 トランプ政策に懸念

ビジネス

三井物産、26年3月期純利益は14%減見込む 資源

ビジネス

25・26年度の成長率見通し下方修正、通商政策の不

ビジネス

午前のドルは143円半ばに上昇、日銀が金融政策の現
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 2
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 3
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中