最新記事

米大統領選

トランプに勝てるのはクリントンよりサンダース?

ヒラリーに大差をつけられながらもサンダースがまだまだ諦めていない理由

2016年3月29日(火)16時32分
テイラー・ウォフォード

支持者熱狂 調査では、サンダースは両党の候補者のなかで一番人気が高い Mike Blake-REUTERS

 社会民主主義者のバーニー・サンダース上院議員は、クリントンに勝つことをまだ諦めていない。

 先週末のワシントン、ハワイ、アラスカでの圧勝が、バーニー・サンダース陣営の沈滞ムードを吹き飛ばした。「サンダースは終わった、という報道はひどく誇張されている」と、サンダース陣営のキャンペーン・マネジャーであるジェフ・ウィーバーは週明けに語った。「われわれは勝つために選挙運動を行っており、そのための道はある」

【参考記事】ヒラリーと民主党を救った社会主義者サンダース

 そうかもしれない。サンダースは3月26日、クリントンの20人に対して55人の一般代議員を獲得した。

 サンダースのこの勝利は、焼け石のように見えるかもしれない。獲得代議員数でのクリントンとの差は、まだ260人以上。「特別代議員」(どの候補者でも自由に支持できる民主党幹部)では500人近い差があるからだ。

トランプに勝てるのはサンダース

 しかしサンダース陣営は、大統領選本戦で共和党候補に勝てる民主党候補は誰か、という世論調査で、サンダースがクリントンに上回っているという点と、最近のサンダースの躍進とを考え合わせれば、特別代議員もクリントンから乗り換えると期待している。

「ドナルド・トランプと対等に戦えるのはクリントンではなくサンダースだ」と、サンダース陣営で世論調査を担当するベン・タルチンは述べる。

 ここ数カ月間で、「ドナルド・トランプと本選を戦うのにふさわしい候補は、クリントンではなくサンダース」ということを示す「一貫したパターン」が調査に表れてきている、とタルチンは付け加える。「両党の全候補の候補のなかで今いちばん人気なのはサンダースだ」

【参考記事】サンダース旋風の裏にある異様なヒラリー・バッシング

 たしかに、各種世論調査を集計して平均値を出す「ハフポスト・ポールスター」によると、クリントンとトランプの両者とも、「支持しない」割合が「支持する」割合を上回っているのに対し、サンダースは「支持する」が上回っている。

 たとえ特別代議員の支持がなくても勝利の道はある、と選挙参謀のタッド・レビーンは言う。一般代議員の獲得数でクリントンを追い越すには、後に残る州の大半で勝たなければならないが、「われわれは大差で勝つつもりだ」と自信を見せた。

ヒラリー支持のピークは過ぎた

 クリントンの大勝は南部に集中している一方で、サンダースは多様な州を手中に収めている。これが意味するのは、クリントンは「明白な最有力候補」かもしれないが、トランプとの熾烈な本戦を耐え抜く力ではサンダースに及ばない可能性があるということだとレビーンは言う。つまり、クリントンの「弱い候補者」としての側面が浮かび上がってきているというのだ。

【参考記事】サンダースを熱狂的に支持する若者たちは、民主主義を信じていない

「後になって振り返ると、クリントンへの支持は3月15日のスーパーチューズデーのときが頂点だったことがわかると思う」とレビーンは言う。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウクライナ首脳、日本時間29日未明に会談 和平巡

ワールド

訂正-カナダ首相、対ウクライナ25億加ドル追加支援

ワールド

ナイジェリア空爆、クリスマスの実行指示とトランプ氏

ビジネス

中国工業部門利益、1年ぶり大幅減 11月13.1%
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 9
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中