最新記事

対テロ戦争

ベルギー同時テロを受け各国が空港警備を見直す動き

豪ターンブル首相は「欧州の国境管理と警備の甘さに責任」と指摘

2016年3月23日(水)19時50分

3月23日、ベルギーの首都ブリュッセルの国際空港と地下鉄の駅で、相次いで爆発があり、少なくとも30人が死亡したことを受け、各国が空港警備の強化と見直しに動いている。記者会見に向かう豪ターンブル首相。シドニーで撮影(2016年 ロイター/David Gray)

 ベルギーの首都ブリュッセルの国際空港と地下鉄の駅で22日、相次いで爆発があり、少なくとも30人が死亡したことを受け、各国が空港警備の強化と見直しに動いている。

 一方、オーストラリアのターンブル首相は23日、欧州の国境管理と警備の甘さに責任があると指摘した。

 爆発は年間2300万人以上が利用するザベンテム国際空港の出発ロビーで2度発生。検察は複数の自爆犯による攻撃との見方を示している。空港は23日も閉鎖される。

 一連の攻撃後、過激派組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した。

 ターンブル首相は23日、シドニーで「わが国の警備体制は、今回のような事態の発生を許してしまった欧州の警備体制よりもはるかに強固だ」と発言。「欧州における警備の甘さは、欧州が最近直面している問題と無関係ではない」と述べた。

 ブリュッセルへの攻撃を受け、ロンドンやパリ、フランクフルトの当局は空港や他の主要交通拠点でパトロールにあたる警察官を増員。

 米国では、ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴ、マイアミ、ボストンをはじめとする主要都市で警備が強化された。ニューヨーク市内の2つの空港や主要な鉄道駅には州兵が派遣され、警備にあたっている。

 2011年にモスクワの空港の到着ロビーで自爆攻撃によって37人が死亡したケースなど、空港が攻撃場所となる例は過去にもあったにもかかわらず、空港自体の安全対策についてはあまり注目されてこなかった。

 旅行者が空港の建物に入る前に文書や持ち物のチェックを受けるアフリカや中東、東南アジアの空港とは対照的に、西欧諸国の空港ターミナルは比較的自由に行き来できる。

 ただ、ターミナルの入り口に手荷物検査所を設置することで、利用客の行列ができ、攻撃の格好の標的となりかねないとの指摘もある。

 

[ベルリン/シドニー 23日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ロシア、ウクライナ東部ルハンスク州全域を支配下に 

ワールド

タイ憲法裁、首相の職務停止命じる 失職巡る裁判中

ビジネス

仏ルノー、上期112億ドルの特損計上へ 日産株巡り

ワールド

マスク氏企業への補助金削減、DOGEが検討すべき=
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた発見の瞬間とは
  • 2
    ワニに襲われ女性が死亡...カヌー転覆後に水中へ引きずり込まれる
  • 3
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とんでもないモノ」に仰天
  • 4
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 5
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 6
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 7
    「パイロットとCAが...」暴露動画が示した「機内での…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    顧客の経営課題に寄り添う──「経営のプロ」の視点を…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で大爆発「沈みゆく姿」を捉えた映像が話題に
  • 3
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門家が語る戦略爆撃機の「内側」と「実力」
  • 4
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 5
    定年後に「やらなくていいこと」5選──お金・人間関係…
  • 6
    ワニに襲われた男性の「最期の姿」...捜索隊が捉えた…
  • 7
    突然ワニに襲われ、水中へ...男性が突いた「ワニの急…
  • 8
    夜道を「ニワトリが歩いている?」近付いて撮影して…
  • 9
    サブリナ・カーペンター、扇情的な衣装で「男性に奉…
  • 10
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    妊娠8カ月の女性を襲ったワニ...妊婦が消えた川辺の…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 8
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 9
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 10
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中