最新記事

通貨

ビットコイン、小規模な投資家から再び注目を集める

専用で設計されたファンドの利用が人気

2016年3月22日(火)19時54分

3月18日、仮想通貨のビットコインが小規模な投資家の間で支持を得ている。ビットコインに投資するために設計されたファンドが利用できるためだ。写真は店頭に飾られていたサイン。オーストラリア・シドニーで昨年9月撮影(2016年 ロイター/David Gray)

 仮想通貨のビットコインが小規模な投資家の間で支持を得ている。ビットコインに投資するために設計されたファンドが利用できるためだ。

 一部の富裕層投資家や、規模の小さいミューチュアルファンド、さらにはヘッジファンドのトレーダーなどは、ビットコインがリターンを高める力になっており、他の資産クラスとの相関関係も低いことを示していると指摘する。

 もっとも投資コミュニティー全体でみると、ビットコインは依然としてニッチ(隙間的)な存在の域は出ていない。

 ビットコインが代替通貨として広く利用されるようになるとの期待感も手伝って、ビットコインの価格は2013年年12月に1000ドルを超える水準まで上昇。時価総額は130億ドルに達した。

 しかし、時価総額はその後は減少に転じ、17日時点では64億ドルとなっている。

 仮想通貨の熱心な支持者は当初、透明性の高さと中央銀行や政府の支配を受けないという革命的な理想に惹かれた。しかし、13年に東京に拠点を置く取引所のマウント・ゴックスが、数億ドル相当の投資家の資金が紛失したことを認めて経営破たんすると、ビットコイン取引にまつわるリスクが露呈した。

 初期のビットコインはギャンブルや犯罪者のウェブサイトとの関係も強く、既存の投資家には好まれなかった。

 レッジャー・パートナーズ(ロンドン)の創業者兼マネジングパートナー、ジェレミー・ミラー氏は、64億ドルのビットコインの時価総額のうち50─90%は、ヘッジファンドに投資する個人など、「疑似機関投資家」と言えるような層が保有しているとみている。この傾向は過去2年間変わらない。

 ミラー氏は、正真正銘の機関投資家によるビットコインの保有額を明らかにしていない。ただ、ファンドの資産配分に関して制約の少ない小規模投資家に比べるとその額は取るに足らないだろうという。

 同氏は「それでも、当初のビットコインは政治的ハッカーを意味するハッカビスト(ハッカー+アクティビスト)が原点だったが、この2年間に以前よりも組織化されたエコシステムになり、ヘッジファンドやトレーダー、プロの投資家も参加するようになったという点は明らかだ」と話している。

運用資産に組み入れ

 ビットコインへの投資に積極的なファンドは比較的に規模の小さいところが多い。最大手は1億6000万ドルの資産を運用するヘッジファンドのパンテラ・ビットコイン・ファンドだ。元タイガー・マネジメントのダン・モアヘッド氏が創設した。5万ドル以上の投資を行う機関投資家や個人が購入できる。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ナワリヌイ氏殺害、プーチン氏は命じず 米当局分析=

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われた、史上初の「ドッグファイト」動画を米軍が公開

  • 3

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 4

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    美女モデルの人魚姫風「貝殻ドレス」、お腹の部分に…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「気持ち悪い」「恥ずかしい...」ジェニファー・ロペ…

  • 10

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 7

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 8

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「誹謗中傷のビジネス化」に歯止めをかけた、北村紗…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈…

  • 5

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中