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2016米大統領選

トランプ氏、今後の課題は本選の大口資金調達、献金者は悪評恐れる

自己資金で選挙活動を行ってきた不動産王も、今後ネガティブキャンペーン対策などで資金調達が必要に

2016年3月18日(金)10時23分

 3月16日、米共和党の指名獲得に大きく前進した不動産王ドナルド・トランプ氏(写真)は、これまで大口献金などに頼らずほとんど自己資金で選挙活動を行ってきたが、いずれは本格的な資金調達が必要になるとみられている。15日撮影(2016年 ロイター/Joe Skipper)

米共和党の指名獲得に大きく前進した不動産王ドナルド・トランプ氏は、これまで、大口献金などに頼らずほとんど自己資金で選挙活動を行ってきた。ただ、本選を見据え、今後予想されるネガティブ・キャンペーンなどに対抗するため、いずれ本格的な資金調達が必要になるとみられている。

一方、共和党献金者の多くは、これまで女性やヒスパニック系、イスラム教徒への差別的な発言を繰り返してきたトランプ氏に献金した場合、自身の評判が傷つくことを恐れている。

これまで共和党主流派の献金者の多くは、11月の本選で民主党のヒラリー・クリントン前国務長官、もしくは、バーニー・サンダース上院議員の勝利を阻止するため、どんなことでもする構えでいた。

ただ、ここにきて一部の共和党員は、トランプ氏への政治資金提供に慎重になっている。

指名争いから撤退したウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事を支援していた共和党大口献金者のダン・エバーハート氏は、トランプ氏に外交分野の専門性が欠けている点などを問題視。「仮に党候補となった場合、気持ちの上では支援するが、資金面で支援することはない」と断言した。

デンバーのテクノロジー企業幹部、クリス・ライト氏は「党候補に選出されたとしても支持することは無理だ」とし、「われわれが暮らしている自由で発達した社会では受け入れがたい」と述べた。

ジェブ・ブッシュ氏の政治資金団体「スーパーPAC」を支援していたテキサス州のゲイロード・ヒューイー氏や、保守的な「スーパーPAC」に200万ドル以上を寄付したフロリダ州のロナルド・ファーマン氏は、誰を支持するかなどまだ決定していないが、トランプ氏が差別的な発言を差し控えることを望んでいる。

<自前の選挙活動>

トランプ氏はこれまで、自身の資産などで選挙資金を賄っている。リアリティー番組の司会を務めたこともある同氏は、その問題発言や有名人という立場でテレビでは常に一定の露出があり、他の候補者ほどテレビ広告費を使っていない。

同氏は、ストラテジストやコンサルタント、世論調査専門家も起用せず、少数のスタッフで質素な選挙活動を行っている。有権者1人当たりに費やした選挙活動費は、指名争いから撤退したブッシュ氏が551.70ドル、ルビオ氏が30.40ドルだったのに対して、わずか3.20ドルだ。

ただ、共和党候補として本選を戦うことになれば、自己資金では賄いきれないとの指摘がある。

政治資金団体や労働組合、民主党対立候補によるネガティブ・キャンペーンの集中攻撃が予想され、そうした非難にテレビやラジオで反論するには、明らかに多額の資金が必要になる。対立候補がクリントン氏となった場合、同氏にはトランプ氏を攻撃できる圧倒的な資金力がある。

先週の討論会でトランプ氏は、本選で献金を募るかまだ決めていない、と明らかにした。

<指名争い長期化なら資金必要に>

トランプ氏が資金提供を求めれば、一部の共和党からは献金が見込める。2012年の大統領選でミット・ロムニー氏の資金調達に貢献したボブ・グランド氏は「他に選択肢がない。トランプ氏は、クリントン氏よりはいい。それは確かだ」と語った。

資金調達を迫られれば、トランプ氏はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを活用し、小口の個人献金を集めることも可能だ。さらに、著名投資家カール・アイカーン氏や、モータースポーツ統括団体の全米自動車競走協会(NASCAR)のブライアン・フランス代表など、通常政治にはあまり関与しない実業家から大口献金を募ることもできる。

ただ、本選で民主党候補と戦う前に、トランプ氏はまず党内で対立候補と対峙しなければならないかもしれない。指名争いが長期化すれば、いずれにしても資金集めが必要になる時が来るだろう。

(Ginger Gibson 記者、Michelle Conlin記者 翻訳:伊藤恭子 編集:加藤京子)

[ワシントン/ニューヨーク 16日 ロイター]

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