最新記事

人権

トラブル絶えない日本の入管収容所、海外からも人権軽視と厳しい視線

監視役の視察委員会は「批判をかわすための『ガス抜きにすぎない』」との証言も

2016年3月13日(日)13時54分

「私たちの病状は相当に悪化し、最悪の事態になっている」。今年2月10日、大阪入国管理局で、被収容者44人(支援団体発表)が医療などの処遇改善を要求し、集団でハンガーストライキを起こした。写真は東京入国管理局。2015年12月撮影(2016年 ロイター/Yuya Shino)

「私たちの病状は相当に悪化し、最悪の事態になっている」。今年2月10日、大阪入国管理局で、被収容者44人(支援団体発表)が医療などの処遇改善を要求し、集団でハンガーストライキを起こした。ハンストは5日間続き、入管当局の対応への不満が渦巻いている現実を浮き彫りにした。

 外部との隔絶、長期の拘禁、見通せない出所時期への不安。被収容者の中には、精神障害や健康悪化が進み、睡眠薬や鎮痛剤などに依存するケースも珍しくない。2014年3月に亡くなったイラン人男性の場合、亡くなった当日に15種類もの薬を処方されていた。

「非常に不健康な収容の仕方であるのは間違いない」。東日本入国管理センターで被収容者を診察している精神科医の野田文隆氏は収容施設の環境について、こう語る。

 施設の医療環境だけでなく、被拘束者への職員の対応のあり方も問われている。強制送還中に急死した45歳のガーナ人男性のケースでは、遺族が東京入管職員の過剰な制圧行為が死亡の原因だとして国家賠償を請求。東京高裁が1月18日に遺族の請求を棄却、遺族側が上告している。

 こうした批判に対し、法務省当局はどう対応しているのか。岩城光英法相は昨年12月15日の記者会見で、2013年10月から2014年11月までの間に被収容者4人が死亡したことについて、「入国管理局において、適切な医療措置を行ったと報告を受けている」、「当時の体制の下での対応や医療措置になんらかの問題があったとは承知していない」と説明した。

 施設での医療システムを見直すべきかどうかについては、「被収容者の人権を尊重しつつ、適正な処遇を行うことができるよう引き続き所要の医療体制の確保に努めたい」と答えた。

視察委員会の監視能力にも限界

 世界各地で移民や難民をめぐる問題が噴出し、当局による出入国管理のあり方にも議論が絶えない。日本の現状は国際的にみても先進的とは言い難い、との指摘もある。

ニュース速報

ワールド

アングル:北朝鮮ミサイル開発にみる金正恩氏の「鉄の

ビジネス

米国株が大幅反落、英EU離脱の不意打ちで

ワールド

クリントン氏支持率、トランプ氏を13ポイント引き離

ビジネス

金融センター、アムステルダムなどに脚光=オランダ財

MAGAZINE

特集:英国はどこへ行く?

2016-6・28号(6/21発売)

EU離脱の是非を問うイギリス国民投票はいかに──。統合の理念が揺らぐ欧州と英国を待つ未来

人気ランキング (ジャンル別)

  • 最新記事
  • コラム
  • ニュース速報
  1. 1

    ISISが3500人のNY「市民殺害リスト」をアプリで公開

    無差別の市民を選び出し、身近な標的を殺せと支持…

  2. 2

    もし第3次世界大戦が起こったら

  3. 3

    英キャメロン首相「EU離脱派6つのウソ」

  4. 4

    Windows10の自動更新プログラム、アフリカのNGOを危険にさらす

  5. 5

    搾取されるK‐POPのアイドルたち

  6. 6

    未婚男性の「不幸」感が突出して高い日本社会

  7. 7

    「国家崩壊」寸前、ベネズエラ国民を苦しめる社会主義の失敗

  8. 8

    ハーバードが絶賛する「日本」を私たちはまだ知らない

  9. 9

    コンビニATM14億円不正引き出し、管理甘い日本が狙われる

    アフリカ諸国、東欧、中東などでは不正分析ソフト…

  10. 10

    あらゆる抗生物質が効かない「スーパー耐性菌」、アメリカで初の感染が見つかる

    ペンシルバニア州に住む49歳の女性から発見…

  1. 1

    レイプ写真を綿々とシェアするデジタル・ネイティブ世代の闇

    ここ最近、読んでいるだけで、腹の底から怒りと…

  2. 2

    英国のEU離脱問題、ハッピーエンドは幻か

    欧州連合(EU)にさらに権限を委譲すべきだと答え…

  3. 3

    伊勢志摩サミットの「配偶者プログラム」はとにかく最悪

    <日本でサミットなどの国際会議が開催されるたび…

  4. 4

    嫌韓デモの現場で見た日本の底力

    今週のコラムニスト:レジス・アルノー 〔7月…

  5. 5

    美学はどこへ行った?(1):思想・哲学・理論

    <現代アートの国際展は、思想や哲学にインスパイアさ…

  6. 6

    グラフでわかる、当面「円高」が避けられないただ1つの理由

    〔ここに注目〕物価 為替市場において円高が…

  7. 7

    中古ショップで見える「貧困」の真実

    時々僕は、自分が周りの人々とは違った経済的「…

  8. 8

    北海道新幹線は、採算が合わないことが分かっているのになぜ開通させたのか?

    〔ここに注目〕JR北海道の経営母体 北海道…

  9. 9

    パックンが斬る、トランプ現象の行方【後編、パックン亡命のシナリオ】

    <【前編】はこちら> トランプ人気は否めない。…

  10. 10

    間違い電話でわかった借金大国の悲しい現実

    ニューヨークに住み始めた僕は、まず携帯電話を手…

  1. 1

    英国のEU離脱派と残留派、なお拮抗=最新の世論調査

    11日に公表された世論調査によると、英国の欧…

  2. 2

    メルセデス・ベンツの長距離EV、10月に発表=ダイムラー

    ドイツの自動車大手ダイムラーは、メルセデス・…

  3. 3

    米フロリダ州の乱射で50人死亡、容疑者は警備最大手に勤務

    米フロリダ州オーランドの、同性愛者が集まるナ…

  4. 4

    米国株式市場は続落、原油安と世界経済懸念が重し

    米国株式市場は2日続落で取引を終えた。原油が…

  5. 5

    英国民投票、「EU離脱」選択で何が起こるか

    欧州連合(EU)は6月23日の英国民投票を控…

  6. 6

    ECBのマイナス金利、銀行に恩恵=コンスタンシオ副総裁

    欧州中央銀行(ECB)のコンスタンシオ副総裁…

  7. 7

    焦点:タカタ再建、「ラザード」効果で進展か 車各社との調整に期待

    欠陥エアバッグ部品の大量リコール(回収・無償…

  8. 8

    インタビュー:世界的な低金利、エンダウメント型投資に勝機=UBSウェルス

    UBSウェルス・マネジメントのグローバルCI…

  9. 9

    NY市場サマリー(10日)

    <為替> 原油安や銀行株主導で世界的に株安が…

  10. 10

    クリントン氏優位保つ、トランプ氏と支持率11ポイント差=調査

    ロイター/イプソスが実施した最新の世論調査に…

定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
リクルート
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版別冊

0歳からの教育 育児編

絶賛発売中!

コラム

パックン(パトリック・ハーラン)

モハメド・アリ、その「第三の顔」を語ろう

STORIES ARCHIVE

  • 2016年6月
  • 2016年5月
  • 2016年4月
  • 2016年3月
  • 2016年2月
  • 2016年1月