最新記事

ハンガリー

「メタボ食品税」で肥満にペナルティ

2011年6月23日(木)17時04分
フィル・カイン

国民の半数以上がメタボ食品税に賛成

 ハンガリー心臓協会のナギー会長は、メタボ食品税を「組織として歓迎している」と語り、脂肪分や塩分、糖分が多い食品も食べすぎなければ健康に害はないという食品業界の主張を批判した。「スーパーに行けば何が健康的で何がそうでないか一目でわかるのに、食品業界は話を複雑にしようとしている」

 フィデス・ハンガリー市民連盟に近いシンクタンクが今週行った世論調査では、国民の54%が肥満税の導入に賛成しているという。

 この程度の増税では人々の購買行動は変わらないとの指摘もあるが、チバはそうした声を一蹴する。「ハンガリー人の給与の少なさを考えれば、この税率は低くない。国民が健康的な代替食品を選ばないかぎり、膨大な税収が入る」

 ハンガリー人はすでに、家計収入の17%を食品に費やしている(アメリカ人の2倍以上の割合だ)。消費税率が欧州で最も高い水準にあるうえに、乳製品とパンを除く大半の食品や飲料に25%の食品税が別途かかる。国民の肥満率は20%で、アメリカの30%より低い。

 ハンガリーがこのまま包括的なメタボ食品税を導入することになれば、世界でも初めての試みとなる。ルーマニアは以前に食品全般に追加課税をし、年間7億ユーロを徴収する計画を検討したが、食品価格の急騰を受けて今年3月に見送りを発表した。ちなみに、ルーマニアの平均的な世帯では家計収入の4割近くが食品に費やしており、肥満は人口のわずか8%だ。

 (GlobalPost.com特約

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イラン最高指導者、米が攻撃なら「取り返しのつかない

ワールド

ガザで30人死亡、住民絶望「私たちは忘れ去られよう

ワールド

イランの遠心分離機製造施設2カ所に被害=IAEA

ビジネス

ECB、「柔軟な」アプローチ維持 中東情勢と米通商
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越しに見た「守り神」の正体
  • 3
    イタリアにある欧州最大の活火山が10年ぶりの大噴火...世界遺産の火山がもたらした被害は?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    ホルムズ海峡の封鎖は「自殺行為」?...イラン・イス…
  • 6
    【クイズ】「熱中症」は英語で何という?
  • 7
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 8
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 9
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 10
    ロシア人にとっての「最大の敵国」、意外な1位は? …
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 5
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
  • 8
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中