最新記事

欧州

「伊首相の18歳不倫疑惑は濡れ衣だ」

イタリアのフラティニ外相が語るグアンタナモ問題、アメリカとの絆、そしてベルルスコーニ首相と18歳モデルの「不適切な関係」疑惑

2009年6月1日(月)16時32分

騒然 イタリア版モニカ・ルインスキー事件?(首相との関係が取りざたされている女性モ デルを掲載した雑誌、5月26日) Alessia Pierdomenico-Reuters

 シルビオ・ベルルスコーニ首相の下でイタリアの外相を務めるフランコ・フラティニは、ことあるごとに物議を醸す首相と対照的にいたって生真面目な人物だ。

 ローマの執務室で本誌ダニエル・クレードマンとバービー・ナドーのインタビューに応じたフラティニは、グアンタナモ米海軍基地のテロ容疑者収容施設の閉鎖問題に対する考え方、アメリカとの「連帯」などについて落ち着いた口調で語った。冷静沈着な言葉に唯一熱がこもったのは、タブロイド紙を騒がせているベルルスコーニと18歳のモデルとの「関係」について尋ねたときだった。

         *

――あなたはイランへの公式訪問を取りやめたが、イランとの高官レベルの接触はEU(欧州連合)に禁じられている。なぜ、イランに行こうと思ったのか。

 禁止されてはいない。核問題の最終的解決が見いだせるまで、政治的接触はハビエル・ソラナ(EU共通外交・安全保障上級代表)に一本化するという暗黙の合意があるだけだ。私の訪問予定は、G8(主要8カ国)外相会合議長としての職責に基づいて、アフガニスタンとパキスタンの安定化について話し合うことが目的だった。

――イタリアはアフガニスタンに部隊を追加派遣したが、部隊の任務には制約を課している。

 派遣部隊の任務を拡大する用意はあるが、現地の状況に関する情報をすべて与えられることが条件だ。アメリカの機密情報を提供してもらう必要がある。

――ベルルスコーニ首相は、グアンタナモの収容者の一部受け入れを検討してもいいと言っている。

 前提条件が2つある。1つは、ヨーロッパのほかのすべての国が共同歩調を取ること。EU域内では人の移動に制約がないので、オーストリアのように受け入れを拒否している国も同調してくれないとイタリアだけ受け入れるのは難しい。もう1つの条件は、イタリア国内で裁判が行われているのでない限り、その人物を拘束することはできないということだ。

――ほかのヨーロッパ諸国とは話し合ったのか。

 私に1つ案がある。新たな国内法を制定して、元収容者に警察の護衛を付けることを条件に入国を認めればいい。イタリアにとっては大きな負担だが、アメリカとの緊密な連帯の精神の一環としてこの選択肢を提案したい。グアンタナモ基地の収容施設についてブッシュ政権を批判しておいて、オバマ政権が施設を閉鎖するのを支援しないのでは、筋が通らない。

――アメリカが自分でまいた種なのだから、自分たちで責任を取れという声もあるのでは?

 多くのEU加盟国はそう思っている......アメリカに元収容者の受け入れ能力がないからイタリアが受け入れるのではない。アメリカとの連帯の証しとして受け入れようというのだ。

――いまベルルスコーニ首相は、モデルのノエミ・レティツィアとの関係について説明を求められている。これはイタリア版「モニカ・ルインスキー事件」なのか。

 その女性に関わるスキャンダラスな報道は、首相と無関係だ。

――つまり、事実でない?

 事実無根。濡れ衣だ。

――この件について、首相に直接問いただしたことはあるのか。

 ある。断じて事実でないと、首相はきっぱり言った。

――しかし18歳未満の女性と性的関係を持ったとすれば、犯罪だ。

 いや、まったく違う。イタリアでは14歳未満であれば犯罪だが、14歳以上18歳未満の相手と関係を持っても法律には一切触れない。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

スペイン、ドイツの輸出先トップ10に復帰へ 経済成

ビジネス

ノボノルディスク株が7.5%急騰、米当局が肥満症治

ワールド

ロシアがウクライナを大規模攻撃、3人死亡 各地で停

ビジネス

中国万科、最終的な債務再編まで何度も返済猶予か=ア
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 2
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 5
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 6
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 7
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 8
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中