最新記事
宇宙

落下地点は予測不能...空から降る「宇宙ゴミ」の高まるリスク...「航空機に直撃」する確率は?

Falling Space Junk Threatens Flights

2025年4月15日(火)18時00分
イアン・ランドル(科学担当)
散乱した宇宙ゴミ

地球周回軌道には衛星やロケット打ち上げで発生した宇宙ゴミが散乱している ILLUSTRATION BY FRAME STOCK FOOTAGE/SHUTTERSTOCK

<宇宙ゴミが航空機にもたらすリスクについて研究者らが警鐘。ロケットの残骸落下で空域が閉鎖された事例も。問題解決に必要なこととは...>

衛星の打ち上げなどに伴うロケットの残骸が落ちてきて民間航空機の運航を妨げるリスクは年間で約25%──そんな調査報告が学術誌ネイチャーの電子版サイエンティフィック・リポーツに掲載された。ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)の研究者らが発表したもので、空の旅のコスト増にもリスク増にもつながると警鐘を鳴らしている。

この論文では、2023年のフライトが最も多い日におけるロケット残骸の大気圏再突入数と航空便の数に基づいて、航空交通密度の異なる空域におけるリスクを計算した。結果、最も交通密度の高い空域(米コロラド州デンバーなど)では、落ちてきたロケット残骸に遭遇する確率は年間26%だった。


ただし壊滅的な被害をもたらすであろう事態(地球周回軌道から落ちてきた宇宙ゴミが民間航空機を直撃する事態)の年間確率は、幸いにして43万分の1にとどまった。

航空需要や商業ロケットの打ち上げ数は増加傾向にあるため、リスクは今後も増大する一方だ。ちなみに国際航空運送協会(IATA)によれば、航空旅客数は今年も7%ほど増える見込みだ。

衛星の打ち上げなどに使われたロケットの残骸は、たいていそのまま地球周回軌道に残るが、いずれは落ちてきて、制御不能のまま大気圏に再突入する。その多くは再突入時に燃え尽きるが、破片が地上に落ちてくることもある。

昨年は258回のロケット打ち上げがあり、制御不能なロケット残骸の大気圏再突入は120回もあった。地球周回軌道上には、現時点で2300個以上の宇宙ゴミが残っていると推定される。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン、イスラエルによる核施設攻撃巡り警告=IAE

ワールド

ロシア、NATO結束を試す構え エストニア警戒必要

ワールド

5月の豪企業景況感は停滞、小売業が低調=NAB

ワールド

豪消費者信頼感、6月は小幅上昇 利下げ効果は限定的
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
メールアドレス

ご登録は会員規約に同意するものと見なします。

人気ランキング
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 3
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラドールに涙
  • 4
    猫に育てられたピットブルが「完全に猫化」...ネット…
  • 5
    日本の女子を追い込む、自分は「太り過ぎ」という歪…
  • 6
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 7
    ひとりで浴槽に...雷を怖れたハスキーが選んだ「安全…
  • 8
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 9
    プールサイドで食事中の女性の背後...忍び寄る「恐ろ…
  • 10
    ふわふわの「白カビ」に覆われたイチゴを食べても、…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中