最新記事

考え方

投資の成否は「アセットアロケーション」で8割以上決まる

2018年6月27日(水)18時52分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

AH86-iStock.

<ファイナンスを習得し、より質の高い意思決定をする。そのために覚えておきたいのが、アセットアロケーション(資産配分)だ。どのような運用手法なのか、そしてどう仕事に役立つのか>

「意思決定を伴わないファイナンスに価値はない。ファイナンスを伴わない意思決定も同じである」を持論とする正田圭氏は、15歳で起業し、現在はM&Aの最前線で活躍する若き実務家。著書『ファイナンスこそが最強の意思決定術である』(CCCメディアハウス)では、あらゆるビジネスパーソンに向けて、ファイナンスを習得し質の高い意思決定を行うための術を伝授している。

その1つが、投資の世界で使われる「アセットアロケーション」という考え方だ。一般に資産配分などと訳されるが、一体どのような手法のことで、またこれがなぜ仕事上の意思決定にも役立つのか。

投資の成否はアセットアロケーションで「8割以上決まってしまう」と、正田氏は言う。本書から一部を抜粋し、3回に分けて掲載するシリーズ。第2回は「1章 ビジネスキャリアを加速させる秘訣はファイナンスにあり」より。

※第1回:AI時代に「超高収入」ファイナンスの専門職は生き残れるか

◇ ◇ ◇

「アセットアロケーション」から学ぶ

投資の世界には、「アセットアロケーション」という言葉が存在します。

「アセットアロケーション」とは、簡単に言えば資産を分散させる運用手法のことですが、投資をやっている人たちの間でも意外と認識されていないキーワードです。

簡単に説明しておきましょう。例えば、皆さんが1億円の貯金を持っていると仮定します。なかには1億円すべてを使っていきなり不動産を購入したり、株を購入したりする人もいるかもしれませんし、いくらかは現金で残した上で株にも社債にも不動産にも投資する、という人もいるでしょう。バランスの組み方は十人十色だと思います。

つまり「アセットアロケーション」とは、このように異なるリスクやリターンの特性をもつ「資産クラス」に分類した投資先への分配比率を決定することを言うのです。

具体的には、「日本株」「外国株」「日本債券」「外国債券」「不動産」といったものが資産クラスとして分類され、「日本株30%・外国株10%・不動産55%・金5%」とか、「日本株50%・先進国株式40%・新興国株式10%」などのように投資比率を決めることになります。

financebook170927-chart1.png

『ファイナンスこそが最強の意思決定術である』より

実は、この「アセットアロケーション」は、投資の世界ではものすごく重要なのです。なぜなら、投資の成否は、この「アセットアロケーション」で8割以上決まってしまうからです。

もう少しかみ砕いて言うと、投資の世界で最も重要なのは、銘柄選びや売買のタイミングではなく、「どの資産にどんな割合で投資するか」なのです。

証券会社やマネー雑誌が言い立てる「次の高騰銘柄はズバリこれだ!」とか「伝説のアナリストが選ぶ、投資推奨ランキングベスト10!」といったものは、極端な話、意味がありません。そんなものを読む以前に、どの資産クラスにどう資金投下するかで、すでに勝負は決まってしまっているのです。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

日銀、金融政策の維持決定 国債買い入れは26年4月

ワールド

G7、イスラエル支持を表明 「イランは不安定要因」

ワールド

日韓首脳、17日にカナダで会談へ=韓国大統領府

ビジネス

EVへの乗り換え意欲、欧州で米国より低下=英シェル
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:コメ高騰の真犯人
特集:コメ高騰の真犯人
2025年6月24日号(6/17発売)

なぜ米価は突然上がり、これからどうなるのか? コメ高騰の原因と「犯人」を探る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 2
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 3
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 4
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 5
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 6
    50歳を過ぎた女は「全員おばあさん」?...これこそが…
  • 7
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 8
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 9
    「そっと触れただけなのに...」客席乗務員から「辱め…
  • 10
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロットが指摘する、墜落したインド航空機の問題点
  • 4
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタ…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 7
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 8
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 9
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?.…
  • 10
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊の瞬間を捉えた「恐怖の映像」に広がる波紋
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 6
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 7
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 8
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 9
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 10
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中