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日銀、金融政策の維持決定 国債買い入れは26年4月から減額幅縮小

2025年06月17日(火)13時29分

 6月17日、日銀は金融政策の現状維持を決定した。国債の買い入れ減額を2026年4月以降も続けることを決め、四半期ごとの減額幅は現在の4000億円から2000億円に圧縮する。日銀本店、2023年9月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Takahiko Wada Takaya Yamaguchi Kentaro Sugiyama

[東京 17日 ロイター] - 日銀は17日、政策金利である無担保コール翌日物の誘導目標を0.50%程度で据え置いた。政策金利の現状維持は全員一致で決定した。また、国債の買い入れ減額を2026年4月以降も続けることを決めた。四半期ごとの減額幅は現在の4000億円から2000億円に圧縮する。

国内景気については、一部に弱めの動きがみられるものの「緩やかに回復している」との現状認識を示した。海外経済も、各国の通商政策などの影響で一部に弱めの動きがみられるが、総じて緩やかに成長しているとした。

消費者物価(除く生鮮食品)は、これまで物価上昇率の押し上げ要因となってきた過去の輸入物価上昇や、このところのコメなどの食料品価格上昇の影響が減衰していくと指摘した。

基調的な物価上昇率は成長ペース鈍化の影響を受けて伸び悩むものの、その後は徐々に高まっていくと予想。展望リポート(経済・物価情勢の展望)の見通し期間後半には物価目標とおおむね整合的な水準で推移するとの見方も示した。

リスク要因はさまざまあるものの、特に各国の通商政策などの展開や、その影響を受けた海外の経済・物価動向を巡る不確実性は極めて高いと指摘。金融・為替市場や日本経済・物価への影響を十分注視する必要があるとした。

<国債買い入れ、減額ペースを圧縮へ>

国債買い入れ減額計画の中間評価の結果、26年3月までの現行計画を維持した上で、26年4月から27年3月まで1年間の計画を新たに策定した。

26年4月以降は減額ペースを四半期2000億円に半減し、27年1―3月の月間買い入れは2.1兆円程度になる。日銀は昨年8月以降、国債買い入れ額を段階的に減らしてきたが、今年3月末時点の国債保有残高は575兆円と国債発行残高の半数を占めている。26年4月以降も買い入れ額を減らすことで、保有残高は昨年6月時点に比べて約16―17%減ることになる。

日銀は声明文で、「長期金利は金融市場において形成されることが基本だ」と改めて指摘した上で、国債買い入れは「国債市場の安定に配慮するための柔軟性を確保しつつ、予見可能な形で減額していくことが適切だ」とした。

柔軟性の観点から、長期金利が急激に上昇する場合には「毎月の買い入れ予定額にかかわらず、機動的に買い入れ額の増額や指し値オペ、共通担保資金供給オペなどを実施する」とした。必要な場合には、金融政策決定会合で計画を見直すこともありうると言及した。

日銀は26年6月の金融政策決定会合で再び中間評価を実施する。中間評価では今回の減額計画を維持することが基本となるが「国債市場の動向や機能度を点検した上で、必要と判断すれば適宜計画に修正を加える」とした。また今回同様、27年4月以降の国債買い入れ方針を検討し、公表する。

26年4月以降の減額ペースについては、田村直樹委員が反対した。田村委員は「長期金利の形成は市場と市場参加者に委ねるべきだ」として、27年1―3月まで月間の買い入れ額を原則毎四半期4000億円程度ずつ減額する議案を提出したが、反対多数で否決された。

ロイター
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