イラッとすることを言われたとき、「本当に頭のいい人」はどう返す?

Keisuke_N -shutterstock-
<不機嫌な一言にカッとする。心ない指摘に沈む――。そんなとき、どう応えるかが「人生の質」を決める。古代ギリシャの哲学「ストイシズム」は、動じない強さと他者への敬意を両立させる知恵を教えてくれる>
いまシリコンバレーをはじめ、世界で「ストイシズム」の教えが爆発的に広がっている。日本でも、ストイックな生き方が身につく『STOIC 人生の教科書ストイシズム』(ブリタニー・ポラット著、花塚恵訳)がついに刊行。
佐藤優氏が「大きな理想を獲得するには禁欲が必要だ。この逆説の神髄をつかんだ者が勝利する」と評する一冊だ。同書の刊行に寄せて、ライターの小川晶子さんに寄稿いただいた。(ダイヤモンド社書籍編集局)
不安や恐れが幸せを遠ざける
以前、チベット仏教の高名な僧侶にお会いした。見るからに慈愛に満ちているその方が自然に人を助けるので、「人に与え続けると、自分の分が減っていきませんか?」と聞いてみた。
たとえば、お腹がすいている人にリンゴをあげたら、自分のリンゴはなくなってしまう。
困っている人がいたらつねに手を差し伸べるというのは、そうしたいと思いつつなかなかできない。与えれば与えるだけ、自分がすり減るのではないかという恐れがあるからだ。
その方は、「その気持ちはわかりますよ」と共感を示したうえで、それでも、「不安や恐れが幸せを遠ざけてしまう。慈しみの気持ちは減ることはない。善いと思った行動をするだけだ」といった話をしてくださった。そして、「自分を愛しなさい」とも。
古代ギリシャで生まれたストイシズムでも、「善の泉は尽きることはない」といった教えが説かれている。