最新記事
健康

エコな生理用品に「永遠の有害物質」が検出される...「環境と体に優しい」に研究者が警鐘【最新研究】

Reusable Feminine Hygiene Products 'A Risk to the Wearer', Study Warns

2025年7月28日(月)13時20分
ルーシー・ノタラントニオ

「膣の粘膜は、腕の皮膚などとは異なり極めて繊細で、血流に直結する『近道』のような働きを持っています。吸収力が非常に高いため、化学物質が肝臓や消化器系で濾過されることなく体内に入ってしまうのです。

この経路は、迅速な薬物投与のルートとして医療でも使われているほどです。それだけに、デリケートゾーンに使う製品の化学的成分には細心の注意が求められます。何が体内に取り込まれるかは、健康全体に関わる問題なのです」


環境的リスクも

再利用可能な生理用品は、使い捨てによる環境負荷を軽減するための代替的な選択肢とされてきた。しかし、最終的にはこれらも廃棄されるため、埋立地でPFAS(ピーファス)が土壌や水に染み出すリスクをはらんでいる。

今回の研究結果は、製品の製造と表示に関して「より高い透明性の必要性」を浮き彫りにしている。ヴェニエール教授は次のように警鐘を鳴らす。

「消費者は、製品に含まれる成分のすべてがパッケージに記載されているとは限らないという現実を知っておくべきです。製造業者が情報をもっと開示することで、消費者自身が何を選択すべきかが判断しやすくなります」


【参考文献】
Wang, Z., Peebles, E., Baird, D. D., Jukic, A. M. Z., Wilcox, A. J., Curry, C. L., Fischer-Colbrie, T., Onnela, J.-P., Williams, M. A., Hauser, R., Coull, B. A., & Mahalingaiah, S. (2025). Menstrual product use patterns in a large digital cohort in the United States: Variations by sociodemographic, health, and menstrual characteristics. American Journal of Obstetrics and Gynecology.

Wicks, A., Brady, S., Whitehead, H. D., Hedman, T., Zachritz, A., Venier, M., & Peaslee, G. F. (2025). Per- and Polyfluoroalkyl Substances in Reusable Feminine Hygiene Products. Environmental Science & Technology Letters.

ニューズウィーク日本版 世界が尊敬する日本の小説36
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年9月16日/23日号(9月9日発売)は「世界が尊敬する日本の小説36」特集。優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

北朝鮮の金与正氏、日米韓の軍事訓練けん制 対抗措置

ワールド

ネパール、暫定首相にカルキ元最高裁長官 来年3月総

ワールド

ルイジアナ州に州兵1000人派遣か、国防総省が計画

ワールド

中国軍、南シナ海巡りフィリピンけん制 日米比が合同
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人に共通する特徴とは?
  • 2
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェイン・ジョンソンの、あまりの「激やせぶり」にネット騒然
  • 3
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる」飲み物はどれ?
  • 4
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 5
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 6
    電車内で「ウクライナ難民の女性」が襲われた驚愕シ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で最も「火山が多い国」はどこ?
  • 9
    村上春樹は「どの作品」から読むのが正解? 最初の1…
  • 10
    腹斜筋が「発火する」自重トレーニングとは?...硬く…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 4
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 5
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 6
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 7
    埼玉県川口市で取材した『おどろきの「クルド人問題…
  • 8
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 9
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 10
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 6
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 7
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 10
    将来ADHDを発症する「幼少期の兆候」が明らかに?...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中