最新記事
健康

睡眠中に体内は大掃除されている...「寝ているあいだにキレイになる」は本当だった

2025年2月8日(土)09時15分
デイヴ・アスプリー(起業家、投資家、「ブレットプルーフ」創設者)

有名な1989年の研究[*3]では、シカゴ大学の研究者らが実験用のラット群が実際に死ぬのを観察した(人間で同様の実験をするのは倫理的に許されないが、僕らにも同じ危険があると考えるのは筋が通っている)。

人間は食べないより寝ないほうがずっと早くに命を落とすのに、本能的に空腹より睡眠不足による疲労のほうがましだと言う人がほとんどだろう。では逆に、十分な睡眠がとれればどれだけ頭が切れて集中力が高まるかをご存じだろうか? 


 

その感覚を裏づけ、良質な睡眠のメリットを科学的に論じる研究が毎日のように発表されている。夜の時間を活動せずに過ごせば、精神的にも肉体的にも生まれ変わることができる。睡眠はあなたの潜在意識が問題を解決し、筋肉を休息させ、タンパク質の生成を促して成長させるための時間なのだ。

睡眠中の脳内では、最近発見されたグリンパティック系[*4]──グリア細胞が縮んで隙間を作り、そこを脳脊髄液が流れて細胞の老廃物が排出される経路──によって炎症誘発物質が排除される。

その結果アルツハイマー病その他の脳疾患のリスクが低下すると考えられ、脳の全般的な老化を遅くする可能性もある。毎晩6時間半から8時間寝ると、高血圧を防いで心臓病のリスクを下げるようだ。

よい睡眠はメラトニン・レベル上昇、炎症抑制、さらには睡眠中に働きはじめるタンパク質消化酵素による細胞修復をはじめ、さまざまなメカニズムを介してがんの発症リスクを下げるというエビデンスもある。

しかし、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の統計によると、アメリカ人の35パーセントは毎晩の睡眠時間が7時間に満たない[*5]。きっとあなたもそうだろう。

それにCDCの調査では、7時間以上寝ている人の睡眠の質が高いかどうかまではわからない。そこで、睡眠とファスティングの強い関連性を検討する前に、睡眠そのものの重要性について考えてみよう。
  
・ 睡眠はストレスを減らす。
・ 睡眠は炎症を抑える。
・ 睡眠は治癒を早める。
・ 睡眠は認知機能と記憶力を向上させ、あなたを賢く機敏にする。
・ 睡眠は性欲を高める。
・ そしてもちろん、睡眠は減量に役立つ。

  
暗闇に乗じていつ敵が襲ってくるかしれないジャングルで眠っているのでもない限り、良質な睡眠にマイナスの要素はない。そしてファスティングはそれを実現させるのに一役買う。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米シティ、ロシア部門売却を取締役会が承認 損失12

ワールド

韓国大統領、1月4ー7日に訪中 習主席と首脳会談

ワールド

マレーシア野党連合、ヤシン元首相がトップ辞任へ

ビジネス

東京株式市場・大引け=続落、5万円台維持 年末株価
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と考える人が知らない事実
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「すでに気に入っている」...ジョージアの大臣が来日…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    「サイエンス少年ではなかった」 テニス漬けの学生…
  • 7
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 8
    【銘柄】子会社が起訴された東京エレクトロン...それ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中