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構想40年「コッポラの暴走」と話題沸騰...映画『メガロポリス』は、ある1点で『スター・ウォーズ』を超える?

Into the Heart of Madness

2025年6月13日(金)13時27分
サム・アダムズ(スレート誌映画担当)

映画『メガロポリス』場面写真、ダスティン・ホフマンら名優がずらり

ダスティン・ホフマン(中央)ら名優がずらり ©2024 CAESAR FILM LLC ALL RIGHTS RESERVED

そこに立ちはだかるのは、現実主義で冷静沈着な市長のキケロ(ジャンカルロ・エスポジート、Giancarlo Esposito)だ。

さらに、大物フィクサーのヌッシュ・バーマン(ダスティン・ホフマン、Dustin Hoffman)、カティリナのおじで有力銀行家のハミルトン・クラッスス3世(ジョン・ボイト、Jon Voight)、いとこで野心家のクローディオ(シャイア・ラブーフ、Shia LaBeouf)など、利権争いや一族の対立が絡み合う。


妻の死から立ち直っていないカティリナは、金融記者のワオ・プラチナ(オーブリー・プラザ、Aubrey Plaza)と関係を持っている。しかし、やがて市長の娘ジュリア(ナタリー・エマニュエル、Nathalie Emmanuel)と恋に落ち、周囲の世界が崩壊するなかで幸せを取り戻そうとする。

ちなみに、カティリナには時間を止める超能力がある。

古代ローマの叙事詩の寓話を21世紀のマンハッタンに重ね、トマス・ピンチョン(Thomas Pynchon)の未完の小説の草稿から借りてきたような名前がちりばめられた支離滅裂な展開を説明しようとしても、『メガロポリス』を見るというカオスな体験を伝えることは到底できない。

アメリカの現代美術家マシュー・バーニー(Matthew Barney)が1994年から2002年にかけて発表した映像シリーズ『クレマスター(The Cremaster Cycle)』は、芸術メディアの歴史を再構築しようという野心的な作品だった。

コッポラは同じように、映画とは何かという根本に立ち返ろうとしている。

Exploring Myth and Violence with Matthew Barney | Art21
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