最新記事
エイズ

エイズ撲滅のため差別や憎悪と闘い続ける──エルトン・ジョン

My Fight for Equality and Justice

2025年1月9日(木)13時35分
エルトン・ジョン(ミュージシャン、エルトン・ジョン・エイズ基金創設者)

newsweekjp20250109014558-ba7d54172019c51eef762aa51992fa0021d83ed6.jpg

南アフリカのスポーツNPOを訪ねて子供たちと交流 GRASSROOT SOCCER

1992年にこの基金を設立したときには、画期的な治療薬も公的支援もなかった。あり余るほどあったのは、ゲイへの憎悪とエイズを恥ずべき病気と見なす風潮だ。

当時と比べれば、エイズとの闘いは飛躍的に進展した。有効な検査や治療・予防薬が開発され、それらの使用も劇的に拡大した。「米大統領エイズ救済緊急計画」や「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」といった支援の枠組みが資金を提供したおかげだ。


しかし社会的な烙印──HIV感染者は支援に値しないという見方は今もはびこり、私たちを苦しめている。

私は恥の感情も、それがどんな影響を及ぼすかも、身をもって知っている。ゲイであることが罪と見なされる時代に育ったからだ。私は自分の性的指向を隠そうとはしなかった。だがシンガーソングライターとして成功したにもかかわらず、薬物依存に陥ったのは、自分は愛される資格がないと思い込んでいたからだ。ゲイとか依存症患者といったレッテルではなく、私という人間そのものを見てくれる人たちが周囲にいなかったら、とうに命を絶っていただろう。

自殺、メンタルヘルスの不調、アルコールや薬物依存、HIVの感染リスク。こうした問題は全て、恐怖や憎悪、差別や排除によって悪化する。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

仏政権崩壊ならIMF介入のリスク、財務相が警告

ワールド

トランプ氏、保証金なしの保釈制度を制限 首都ワシン

ビジネス

メルセデス年金信託の日産株売却、10倍超の応募 割

ワールド

米国旗焼却なら訴追・在留制限へ、トランプ氏が大統領
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:健康長寿の筋トレ入門
特集:健康長寿の筋トレ入門
2025年9月 2日号(8/26発売)

「何歳から始めても遅すぎることはない」――長寿時代の今こそ筋力の大切さを見直す時

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット民が「塩素かぶれ」じゃないと見抜いたワケ
  • 2
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」の正体...医師が回答した「人獣共通感染症」とは
  • 3
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密着させ...」 女性客が投稿した写真に批判殺到
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 6
    顔面が「異様な突起」に覆われたリス...「触手の生え…
  • 7
    【写真特集】「世界最大の湖」カスピ海が縮んでいく…
  • 8
    アメリカの農地に「中国のソーラーパネルは要らない…
  • 9
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 10
    「ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢」(東京会場) …
  • 1
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 2
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに感染、最悪の場合死亡も
  • 3
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人」だった...母親によるビフォーアフター画像にSNS驚愕
  • 4
    「死ぬほど怖い」「気づかず飛び込んでたら...」家の…
  • 5
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
  • 6
    中国で「妊娠ロボット」発売か――妊娠期間も含め「自…
  • 7
    皮膚の内側に虫がいるの? 投稿された「奇妙な斑点」…
  • 8
    なぜ筋トレは「自重トレーニング」一択なのか?...筋…
  • 9
    飛行機内で隣の客が「最悪」のマナー違反、「体を密…
  • 10
    20代で「統合失調症」と診断された女性...「自分は精…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    こんな症状が出たら「メンタル赤信号」...心療内科医が伝授、「働くための」心とカラダの守り方とは?
  • 3
    「自律神経を強化し、脂肪燃焼を促進する」子供も大人も大好きな5つの食べ物
  • 4
    デカすぎ...母親の骨盤を砕いて生まれてきた「超巨大…
  • 5
    デンマークの動物園、飼えなくなったペットの寄付を…
  • 6
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果…
  • 7
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 8
    山道で鉢合わせ、超至近距離に3頭...ハイイログマの…
  • 9
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 10
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中