最新記事
YouTube

BTSやテイラー・スウィフトよりも総再生回数が多い、キルギス版YouTuber「Dビリオンズ」って何者?

Kyrgyz Soft Power

2023年7月2日(日)11時30分
コリーン・ウッド(ライター)

230704p52_KYO_02A.jpg

ジャパロフ首相と共に GOV.KG

「私の娘も含めて、子供たちが英語かロシア語を話しているという現実が悲しい」と、ウメタリーブはあるインタビューで語っている。

「全ての子供がキルギス語の基本的な単語を30個覚えれば、一つの勝利と言えるだろう」

4人はキルギスの伝統的な衣装こそ着ていないが、英語版の動画の一部でキルギスの文化を紹介している。

今年3月に発表した新曲「ラーニング・ノマド・ゲームズ」は、動画の再生回数は85万回とDビリオンズとしては少ないが、最も世界に知られたキルギスのポップカルチャーの1つになった。

こうした文化的なプロモーション効果に、キルギスの政府関係者も注目している。5月30日、アキルベク・ジャパロフ首相(内閣議長)はDビリオンズの文化的貢献を表彰した。

文化を外交の力に変える

この賞の背景には、キルギスがIT部門とクリエーティブエコノミー(創造経済)の発展を熱望していることがある。

政府は21年にデジタル開発省を創設し、情報通信技術分野の労働者を誘致するプログラム「デジタルノマド」の下、国外から1119人を受け入れている。

キルギス国内のITコミュニティーは既に充実しており、Dビリオンズはその中で積極的な役割を果たしている。23年の中央アジア・テックアワードでは「エクスパンション・オブ・ザ・イヤー」を獲得し、近くシリコンバレーを訪れる予定だ。

キルギスのIT部門の発展は経済成長につながると期待されるだけでなく、外交や国のソフトパワーの拡大をもたらす可能性もある。例えば韓国当局は、Kポップの人気を外交的な影響力に変えている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英住宅ローン融資、3月は4年ぶり大幅増 優遇税制の

ビジネス

LSEG、第1四半期収益は予想上回る 市場部門が好

ワールド

鉱物資源協定、ウクライナは米支援に国富削るとメドベ

ワールド

米、中国に関税交渉を打診 国営メディア報道
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中