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としまえん「一緒に成長する場所だった」 閉園惜しむ人々

2020年9月1日(火)17時29分

90年以上にわたり人気を集めてきた東京都練馬区の遊園地「としまえん」が営業を終了した。写真は従業員の安倍純子さんと光里さん。としまえんで8月21日撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

90年以上にわたり人気を集めてきた東京都練馬区の遊園地「としまえん」が31日、営業を終了した。

阿部純子さん(62)と光里さん(30)親子のような地域住民にとって、1926年開園のとしまえんは、特別な場所だ。同園で働く純子さんと光里さんがそれぞれのパートナーと出会ったのも、この場所だった。

1970年代からほぼ継続的に同園で働いてきた純子さんは、同園を「娘と一緒に楽しみたかった」と話す。自分の人生の終わりまで、同園が続くものと疑っていなかったという。

娘の光里さんは、2015年から同園で働いている。園で出会った男性と結婚が決まっており、園内で家族写真を撮りたいと考えていたという。

「生まれたときからあって当たり前の場所で、なくなるのが信じられない」

閉園を控えた同園は、新型コロナウイルス対策で来園者数を制限する措置を取ったが、訪れた人々は口々に、家族で遊びにきたり、学校遠足や成人式で訪れた思い出を振り返った。

冨澤昭好さん(54)は、「残念で悲しくて、できることなら閉園延長、あるいは存続を願ってやまない」と言う。

富沢さんは4歳のころから同園を定期的に訪れており、友人とプールで遊んだり、高校時代にはデートに来たりしていたいう。

同園の魅力の1つは、プールや飲食店、そしてジェットコースターまである多様なアトラクションだ。

田方泰子さん(56)は、友人たちとプールで遊んで花火を見たことを思い出す。

「としまえんは、一緒に成長する場所だった」

跡地には、小説や映画が人気の「ハリー・ポッター」のテーマパークが整備され、2023年前半の開業を目指すという。

[ロイター]


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