最新記事

大学

米大学がいちばん欲しいのは「専攻が決まっている学生」

高校生が東大を蹴って海外へ!? 世界トップクラスの大学が集まるアメリカで期待される6つの学生像(1)

2015年12月27日(日)08時05分

こんな学生が有利 合否判定をする際に期待されている学生像の第1は「白熱教室の議論を盛り上げてくれる人材」であり、第2は「研究テーマや専攻をすでに決めている人材」 Ridofranz-iStockphoto.com

 今、新しいタイプのアメリカ留学ブームが起きていると、本誌ウェブコラム「プリンストン発 日本/アメリカ 新時代」でお馴染みの在米ジャーナリスト、冷泉彰彦氏は言う。グローバル化の潮流を背景に、日本の優秀な高校生が「アイビーリーグ」の8校をはじめとするアメリカの一流大学を志望する、全く新しい動きが起こっているのだ。

 実は冷泉氏は、1997年以来、ニュージャージー州にあるプリンストン日本語学校高等部で進路指導にあたってきた。プリンストンやコロンビア、カーネギー・メロンなど多くの名門大学に高校生を送り出してきた経験をもとに、『アイビーリーグの入り方――アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)を上梓した冷泉氏。アメリカの高等教育の仕組みから、秘密のベールに包まれた「アイビーリーグ入試」の実態、厳選した名門大学30校のデータまでを1冊にまとめている。

 アメリカの各大学では「アドミッション・オフィス(Admission Office=入試事務室)」という組織が入試の実務を担っている。日本の「AO入試」は簡易型の選考というイメージが出来上がってしまっているが、それとは全く違い、AOは高度な専門職だと冷泉氏は説明する。

 これまで3回、本書の「Chapter 1 志望校をどうやって選ぶのか?」から一部を抜粋したが、それに続き「Chapter 3 入試事務室は何を考えているのか?」から一部を抜粋し、3回に分けて掲載する。アメリカの大学では、どんな学生が求められているのだろうか。

<*下の画像をクリックするとAmazonのサイトに繋がります>


『アイビーリーグの入り方
 ――アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』
 冷泉彰彦 著
 CCCメディアハウス

※第1回:これまでと違う「アメリカ留学ブーム」が始まっている はこちら
※第2回:アイビーに比肩する名門のリベラルアーツ・カレッジがある はこちら
※第3回:アメリカの女子大には「上昇志向の強い」女性が集まる はこちら

◇ ◇ ◇

期待される学生像「授業への貢献」

 では、期待される学生像はどのようなイメージになるのでしょうか? この「期待される学生像」というのは、多くの場合、大学のホームページに掲げられていますし、大学訪問時の質疑応答、そして実際に受かった学生、受からなかった学生の情報を総合すると、概略的な像を描くことが可能です。

 まず第1は「授業に貢献し、まさに白熱教室の議論を盛り上げてくれるような人材」です。

 この「白熱教室」という言葉は、ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の講義で有名になった日本語なので使ってみたわけですが、まず誤解を解きたいのは、このサンデル教授の講義というのは、私がビデオクリップで見た範囲では、サンデル教授の専売特許でも、ハーバードの特殊な優位性を表しているものでも何でもありません。

 確かに日常的な問題から抽象的な原理原則の話に気づかせるとか、学生の反応に当意即妙なレスポンスができるという意味では、サンデル教授は教育者として優秀な資質を持った教師だと言えると思います。

 ですが、その「教室」が、アメリカの大学教育の水準の中で傑出しているとは思えないのです。こうした授業形式は極めて一般的であり、サンデル教授やハーバードの学生だから可能というものではないのです。

 合格者のSAT 平均点が2400点満点で2250点近辺のハーバードなどのアイビーであっても、1700点台で入れる小規模カレッジや地方州立大学であっても、こうしたスタイルの授業は当たり前になっています。

 宿題に「リーディングアサインメント(Reading Assignment 読書課題)」を提示して、各受講者はそれを読んで内容を把握しつつ自分の立場を決めてくる、それを元に授業では討論に参加する、そんな形式です。

 仮に授業規模が大きすぎて講義の時間内では全員に発言機会を与えられない場合は、その授業とペアになる少人数セッションの受講を義務づけ、助教なども加わって、全員がディスカッションや作業に参加、そこで「ちゃんと課題を読んだか、クラスメイトの議論活性化に貢献したか」をアピールしないと単位は取れない、そんな仕組みです。

ニュース速報

ビジネス

寄り付きの日経平均は反発、円安が支援 全業種が値上

ワールド

米上院情報委、フリン前大統領補佐官の会社に召喚状 

ワールド

英が治安強化で軍動員へ、警戒レベル最高に 自爆攻撃

ビジネス

米FRB、必要に応じ保有債券の縮小過程に介入できる

MAGAZINE

特集:トランプの陰謀

2017-5・30号(5/23発売)

アメリカを再び揺るがす大統領側近たちの策謀──。「ロシアゲート」はウォーターゲート事件と同じ展開になるか

グローバル人材を目指す

人気ランキング

  • 1

    ヤマト値上げが裏目に? 運送会社化するアマゾン

  • 2

    「パスワードは定期的に変更してはいけない」--米政府

  • 3

    アリアナコンサートで容疑者拘束、死者22人で不明者多数

  • 4

    ベネズエラほぼ内戦状態 政府保管庫には大量の武器

  • 5

    アリアナ・グランデのコンサート会場で自爆攻撃か、1…

  • 6

    トランプ政権のスタッフが転職先を探し始めた

  • 7

    キャサリン妃妹ピッパのウェディング、でも主役は花…

  • 8

    重さ64グラム!世界最小かつ最軽量の人工衛星をイン…

  • 9

    プーチンを脅かす満身創痍の男

  • 10

    北朝鮮のサイバー攻撃専門「180部隊」 各国の銀行か…

  • 1

    ヤマト値上げが裏目に? 運送会社化するアマゾン

  • 2

    トヨタとホンダをまねた中国自動車メーカーが躍進!

  • 3

    初外遊の憂鬱、トランプはアメリカ料理しか食べられない!

  • 4

    共和党はなぜトランプを見限らないのか

  • 5

    「これでトランプを終わらせる」マイケル・ムーアが…

  • 6

    日本はAIIBに参加すべきではない--中国の巨大化に手…

  • 7

    トランプのエルサレム訪問に恐れおののくイスラエル

  • 8

    トランプ政権のスタッフが転職先を探し始めた

  • 9

    ニクソンより深刻な罪を犯したトランプは辞任する

  • 10

    トランプ勝利を予測した教授が説く「大統領弾劾」シ…

  • 1

    25日に何も起こらなくても、北朝鮮「核危機」は再発する

  • 2

    ディズニーランド「ファストパス」で待ち時間は短くならない

  • 3

    北朝鮮ミサイル実験「失敗」の真相

  • 4

    北朝鮮ミサイル攻撃を警戒、日本で核シェルターの需…

  • 5

    北朝鮮をかばい続けてきた中国が今、態度を急変させ…

  • 6

    性的欲望をかきたてるものは人によってこんなに違う

  • 7

    シャチがホホジロザメを餌にし始めた

  • 8

    性科学は1886年に誕生したが、今でもセックスは謎だ…

  • 9

    ヤマト値上げが裏目に? 運送会社化するアマゾン

  • 10

    北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは...

PICTURE POWER

レンズがとらえた地球のひと・すがた・みらい

日本再発見 「外国人から見たニッポンの不思議」
定期購読
期間限定、アップルNewsstandで30日間の無料トライアル実施中!
メールマガジン登録
売り切れのないDigital版はこちら

MOOK

ニューズウィーク日本版 別冊

0歳からの教育 知育諞

絶賛発売中!

STORIES ARCHIVE

  • 2017年5月
  • 2017年4月
  • 2017年3月
  • 2017年2月
  • 2017年1月
  • 2016年12月